「映画よ、もっと気候変動を語れ」 ディカプリオ主演作や『マッドマックス』の功績とは?
Climate Reality in Cinema
しかし、気候変動対策を推進するためには、映画を通じて世論の関心を高めることが不可欠だと、ジョイナーは指摘する。「歴史を振り返っても、ストーリーテラーとアーティストが参加せずに成功した社会運動はない」
ジョイナーによれば、気候変動が登場する映画にはさまざまなタイプがある。
比較的多いのは、スーパーヒーローが活躍する大規模予算のアクション映画だ。ディストピア的未来や、ヒーローが阻止しようとする陰謀の一部として気候変動が描かれる。
『アクアマン』『ファンタスティック・フォー』『ジャスティス・リーグ』『アメイジング・スパイダーマン2』などがそうだ。
一方、気候変動が作品のプロットを大きく左右することこそないが、登場人物の会話に出てくる作品もある。
「このタイプの作品も心理面での重要性が大きい。気候変動を話題にするのは当たり前で、気候変動を恐れる感情を抱いてもいいのだと感じてもらえる」と、ジョイナーは言う。19年のロマンチックコメディー『マリッジ・ストーリー』はこのタイプだ。
さらに、「気候の世界」をつくり上げる映画もある。ジョイナーによれば、「ストーリー全体に気候変動問題が織り込まれていて、登場人物の人生とストーリー展開にも影響を及ぼす」タイプである。22年の映画『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』はその一例だ。
明るい兆しも見え始めた
気候現実テストに合格した映画はわずかにとどまったが、明るい兆しもある。
かつて何千作ものテレビドラマと映画を調べた際には、気候変動を取り上げた映画は3%に満たなかった。それに、今回の調査対象期間のうち、後半の5年間の「合格作」の数は、前半の5年間の2倍に達している。
ジョイナーによれば、興行収入面でも注目すべき点がある。気候現実テストの少なくとも一部の基準を満たす作品は、そうではない作品と比べて興行収入が10%高いという。
気候変動を織り込めばヒット確実だと主張しているわけではない。それでも、「気候変動もの」は観客に敬遠されると懸念する必要はないと、ジョイナーは話す。