「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の言葉を信じたのか? 現地記者たちが語った本音とは
DOES THE MEDIA BELIEVE OHTANI?
──スポーツ専門局ESPNやロサンゼルス・タイムズ紙などは、違法賭博の話を少し前から追っていたと報じていたが、水原氏が解雇されたというニュースの前に、そのような話は聞いていたか。
聞いていない。2社以外、多くの記者が驚いていたし、水原さんにギャンブルの形跡も見えなかった。ただ、水原さんは昨季までエンゼルスでプレーしていたデービッド・フレッチャー選手(現ブレーブス傘下マイナー選手)と仲が良く、水原さんが違法賭博で関わったとされるマシュー・ボイヤーとはフレッチャー選手がきっかけで出会ったという話がいくつか出ている。フレッチャー選手はオフシーズンにはポーカーの大会に出ている選手なので、きっかけはその辺だったのだろうと、その話が出る前から想像していた。フレッチャー選手と水原さんが絡んでいるのはよく見かけていたので。
ただ、クラブハウス内で選手たちが遊びとしてポーカーなどのカードゲームをやっているのは何度も見たことがある。ドジャースだけでなく30球団どこでもやっていると思うし、クラブハウス内でのカードゲームを見かけることは、私がこれまで18年取材してきたなかで日常茶飯事。ポーカーをやるときにお金が発生しているかどうかまでは分からないが、記者らと話をするなかでは、ちょっとした賭け事というのはよくある話だよね、とみな口をそろえる。もちろん、やる人とやらない人がいるし、大谷選手は賭けはやっていないと私は信じるが、信じていないという記者も正直、何人かいた。
また、違法ブックメーカーが何百万ドルもの借金を許すはずがない、という声も聞く。もっと前の段階で止められているか、回収させられているか。それだけの巨額を賭けられたのは大谷本人だからじゃないか、という見方をしている人はいた。
──取材対応を含め、水原氏はこれまでどんな役割をしていた?
大谷選手には直接話しかけられないので、何かにつけて水原さんに頼ることはあった。「大谷選手、そろそろ帰りますか?」というようなことも聞いたり。基本的には、大谷選手の隣にいるときに挨拶をするとか、その辺にいる水原さんをつかまえて話しかける。水原さんはたばこを吸うので、よくこっそり廊下を歩いていたりするから(笑)、そのタイミングで話しかけたりしていた。
水原さん自身にインタビューをしたりコメントを取ることもあった。以前、大谷選手に取材依頼をする際に「大谷選手のマネジメントに連絡したほうがいいですか」と水原さんに聞いたところ、「どうせ僕のほうに言われるので僕でいいです」と言われたことがあり、水原さんを通すようにしていたが、結局一度も取材依頼に対する返事はなく、いま考えると、ちゃんと言ってくれてなかったのではないか、と思ったりはする。