最新記事

人生を変えた55冊

大ヒット中国SF『三体』を生んだ劉慈欣「私の人生を変えた5冊の本」

2020年8月4日(火)16時30分
劉 慈欣(リウ・ツーシン)

シンギュラリティ学は次のように言う。人類の科学技術の発展の勢いは指数曲線にとても似ている。初めの頃は比較的緩やかで、それはわれわれが今いる段階でもある。しかし1つのターニングポイントを経た後は急激に上昇し、ほとんど垂直になり、速度は無限に接近する。これがシンギュラリティ時代である。

シンギュラリティが到来するかどうかは主にGNRと呼ばれる3項目の技術による。遺伝子テクノロジー(G)、ナノ技術(N)、AIが核のロボット技術(R)で、この3つの技術が加わると指数曲線が超高速に発展し、人類の文明にもごく短期間で徹底的な変化が生まれるという。

作者は2030年頃、AIが人類の知力をはるかに超越し、全く新しい世界が誕生するだろうと予言している。この予測はそれほど深刻なものではない。だが、未来に向き合うわれわれの線形思考にとっては巨大な衝撃だ。

(筆者は99年デビュー。15年に『三体』でヒューゴー賞受賞。本稿の翻訳は立原透耶)

<2020年8月11日/18日号「人生を変えた55冊」特集より>

【関連記事】今年のネビュラ賞受賞作は、現在のパンデミックと隔離生活を予言したかのような近未来SF

2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米副大統領がローマ教皇称賛 政治的相違も「偉大な司

ビジネス

日銀、追加利上げ先送りの可能性 米関税巡る不透明感

ビジネス

仏ケリング、第1四半期は14%減収 グッチが予想以

ワールド

韓国GDP、第1四半期は予想外のマイナス 輸出減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    ウクライナ停戦交渉で欧州諸国が「譲れぬ一線」をア…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中