大ヒット中国SF『三体』を生んだ劉慈欣「私の人生を変えた5冊の本」
シンギュラリティ学は次のように言う。人類の科学技術の発展の勢いは指数曲線にとても似ている。初めの頃は比較的緩やかで、それはわれわれが今いる段階でもある。しかし1つのターニングポイントを経た後は急激に上昇し、ほとんど垂直になり、速度は無限に接近する。これがシンギュラリティ時代である。
シンギュラリティが到来するかどうかは主にGNRと呼ばれる3項目の技術による。遺伝子テクノロジー(G)、ナノ技術(N)、AIが核のロボット技術(R)で、この3つの技術が加わると指数曲線が超高速に発展し、人類の文明にもごく短期間で徹底的な変化が生まれるという。
作者は2030年頃、AIが人類の知力をはるかに超越し、全く新しい世界が誕生するだろうと予言している。この予測はそれほど深刻なものではない。だが、未来に向き合うわれわれの線形思考にとっては巨大な衝撃だ。
(筆者は99年デビュー。15年に『三体』でヒューゴー賞受賞。本稿の翻訳は立原透耶)
<2020年8月11日/18日号「人生を変えた55冊」特集より>
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2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか