韓国「アナ雪2」1000万人突破の影でディズニー訴えられる 大ヒットを支えた「ドベ」とは?
韓国のスクリーンの9割を独占するシネコン
観客は、映画館で同じ映画を繰り返し見続けたいわけではない。ではなぜこのような、1本の映画がスクリーンの88%も独占するような事態になっているのだろうか? 大きな理由の一つとして、韓国のシネコンチェーン業界がパワーを持ちすぎたという点があげられる。
韓国の映画館はCJ、ロッテ、メガボックスの大手シネコン3社が全国の92%もの映画館を牛耳っている。この3社は映画館経営だけでなく、自社で洋画の買い付けはもちろん製作も行っている。自社が製作・買い付けした映画の資金回収を重視して配給するため、シネコンでは1回でも多くこれらの作品の上映回数を増やしたいのはわかるが、一方でこの3社以外の映画会社は自前の劇場をもっていないため、映画の上映をシネコン側にお願いする立場となる。3社配給作品のわずかな隙間に上映してもらうのだ。
せっかちな韓国の国民性も影響?
また、韓国では映画の配給にあたって「何週間はこの映画館で確実に上映し続ける」という公開保障がなく、人気が無ければ1週間もしないうちに打ち切りとなる。日本のように都市部で先行封切りして、様子を見ながら公開規模や期間を決めるというシステムも一部の独立映画を除き、一般上映では行っていない。
これは違法ダウンロードが多く、さらにDVD市場がほぼ消滅している韓国の映画業界の特徴であり、素早く公開し利益を回収してしまおうということからだ。その為に集客が見込まれるとなれば、一気に最大数のスクリーンを押さえて封切るスタイルが定着した。
また、そもそも韓国と日本では映画を観る方法が多少異なっている。ネットやスマホの普及によって、今はオンラインで上映時間の検索ができるが、日本でひと昔前までは情報誌や新聞で上映時間をチェックしたり、直接映画館に電話をかけたりして情報を得る人がほとんどだった。
一方、韓国では映画を観るときは直接映画館に出向き、その時間にちょうど上映している映画のチケットをその場で購入する人が多かった。慎重に前もって時間を確認して映画館に出向く日本人よりも、何事もサッサとすませたがる国民性の韓国人は、映画を気軽な娯楽として楽しむ人が多いのだ。
その心理は今も残っているため、人気の映画はいつ行っても上映しているように多様なスケジュールで上映しなくてはならない。実際スクリーン独占作品と言われている映画は、約30分間隔で上映されているため、時間を気にせずいつ行っても、少しの待ち時間で次の上映が見られる状態になっている。
「上映時間に合わせて出向かなくてはならない」という点は、今後好きな時に自分のペースで観られる配信サービスの定着によって、映画館での映画鑑賞の醍醐味から弱点へと変わっていくかもしれない。