最新記事

アメリカ社会

「出会い系」ブームで、熟年のバレンタインが熱い

中高年シングルに最適? オンラインでの「恋人探し」はもはや珍しくなく、55~64歳の経験者は2年で倍増した

2016年2月13日(土)10時13分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

幸せをもう一度 ソーシャルメディア利用率も高く、恋に積極的なベビーブーム世代にとって、デート相手探しに困らない時代になった Pali Rao-iStock.

 2月14日はバレンタインデー。ここアメリカでは日本とは逆で、男性が女性をデートに誘い、カードや花束をプレゼントしてロマンチックな1日を過ごす。夜はレストランがカップルでひしめくこの日を前に、そわそわしているのは若者だけではない。アメリカでは今、「デートしたい」中高年がオンラインでの恋人探しに精を出している。その数は2年前に比べてなんと倍増しているという。

 2月11日にピュー・リサーチセンターが発表した昨年夏の調査データによれば、55~64歳のアメリカ人のうち、いわゆる「出会い系」のインターネットサイトやモバイルアプリを使ったことがある人は12%と、2013年の6%から2倍に増えた。今や55~64歳の中高年層の約10人に1人が、多くの若者たちと同じくネットやアプリをのぞきこみながら恋人探しにいそしんでいるのだ。

Use of online dating sites or mobile apps by young adults has nearly tripled since 2013

 それもそのはず。1946~1964年に生まれたベビーブーム世代は、「セックス、ドラッグ、ロックンロール」の時代に成人した好奇心旺盛な大人たちだ。今年で52~70歳となる彼らが、気軽に出会える便利なツールを若者たちに独占させておくわけがない。

【参考記事】婚活疲れを防ぐ初デート突破の秘訣

 恋に積極的なこの世代に、独身の男女が溢れていることも「出会い系」人気の大きな理由だろう。ベビーブーム世代の独身率は過去に比べて上昇しており、国勢調査局によれば2003年、伴侶がいない55~64歳は27%だったが、2014年には31.8%に上がった(17%が離婚、4.9%が死別、9.9%は非婚)。この前後の年代でも、50~54歳の独身率は32.1%、65~74歳の独身率は32.3%と、全体の3分の1を占める。

 若者たちに一足遅れる形で、ソーシャルメディアに慣れ親しんできたというのも一因だ。ピューの別の調査によれば、50~64歳のソーシャルメディアの利用率は2010年に33%だったのが、2015年には51%に高騰した(ちなみに日本の50代のソーシャルメディア利用率も45.9%と意外に高い。60代だと17.3%と激減するが)。デートはしたい。だが昔のようにバーで出会う歳でもない――そんな中高年にとって、じっくりこっそり恋人を探せる「出会い系」は、実は恋人そのものと同じくらい魅力的な代物なのかもしれない。

 一方で、もちろん若者たちも負けてはいない。今回発表された調査では、18歳以上の男女のうち「出会い系」のサイトやアプリを使ったことのある人は15%と、2013年の11%より増加した。なかでも伸び率が顕著なのは18~24歳の若年層で、2年前の10%から今や27%にまで上昇している。この世代は、実に10人中3~4人が使ったことがある計算だ。

 同じ調査で、こうした「出会い系」サイト・アプリ使用経験者の80%が「新しい人に会うのに良い」とポジティブな見方を示している。とはいえネガティブな面もあるようで、使用経験者の約半数の45%が出会い系は「他の出会い方より危険だ」と回答。また、31%が「常にデート相手の選択肢があるため、決まった相手に落ち着きにくくなる」と言い、16%が「出会い系を使っている人は必死だ」という見方に同意した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中