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犬たちの怒涛の反乱にぶちのめされる『ホワイト・ゴッド』

2015年11月20日(金)17時20分
大橋 希(本誌記者)

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200頭以上の犬たちがトレーニングを受けて撮影に参加した 2014©Proton Cinema, Pola Pandora, Chimney


――リリは周囲との関係はすごく不安定だが、犬からすれば従うべき存在になっている。彼女が象徴しているものは?

 われわれの純粋さ。特に、規則などの下で簡単に失われてしまう純真さを象徴している。

 そのリリ役だが、探すのにはすごく苦労したんだ。大がかりなキャスティングをして、2000人くらいの女の子に会って。ジョーフィア・プショッタは友達の付き添いでオーディションに来ていた。友達の後ろに何の興味もなさそうにいた彼女を見て、「ちょっと試してみない」と誘ったが、「ノー、映画なんて出たくない」と言われた。

 それでも写真や動画を撮らせてもらい、素晴らしかったのでぜひリリをやってほしいと思った。だから、たくさんの花とケーキを持って、彼女のお母さんを口説きに行った(笑)。娘さんには才能があるから、絶対にこの役を演じるべきだ、と。

――彼女は女優の道に目覚めた?

 まだ14歳と若く、将来を決めるには早いから、どうなるか分からないだろう。本当にいい女優だけど、こちらの考えを押しつけたくはないし。それにハンガリーの映画業界はそれほど大きくはなくて、アメリカのように子役で出演したら次の作品にすぐ声がかかるという状況でもない。

――これまでのあなた自身の人生で、犬との関わりはあったのか。

 犬は大好きだし、子供の頃から犬を飼っていた。犬との思い出はたくさんあるよ。今は都市部に住んでいるので、一緒に暮らすことが難しいが。

 犬を演出するにあたり、2つ決めていたことがある。1つはCGを一切使わず、本物の犬を使うこと。もう1つは、犬に犬自身を演じてもらうこと。だから、良い協力者で仲間になってくれる犬を探さなければならなかったが、それがとても大変だった。

 基本的には、野犬収容所にいるような犬を集めた。自分も毎日トレーニングの場に足を運んで彼らと時間を過ごしたりして、作品を作っていった。だからこの映画はフィクションではあるが、ドキュメンタリーに近い作り方をしたと言うこともできる。

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