最新記事

映画

ヒーローたちが泣いている

グラフィックノベル『ウォッチメン』の実写映画は、原作の正確な再現でコアなファンには喜ばれるだろうが…

2009年4月7日(火)16時31分
デビン・ゴードン(エンターテインメント担当)

ファンは大喜び ザック・スナイダー監督は原作のグラフィックノベル『ウォッチメン』を充実に映像化

 勇気を奮って告白する私の潔い態度を誰かほめてくれないだろうか。

 実は10年前、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が公開されたとき、私は大傑作だと思った。見終わった後に友人とバーで映画のシーンをあれこれ思い出しながら、世間はなぜこの作品の素晴らしさに気づかないのかと嘆いたものだ。

『スター・ウォーズ』を見て育った世代には、作品を無条件で受け入れたい気持ちがある。だからアナキン・スカイウォーカーを演じる子役や新しいキャラクターのジャー・ジャー・ビンクスについても、これでいいのだと自分に言い聞かせた。

映画公開から数週間後、同僚はジョージ・ルーカスが書いたお粗末な劇中のせりふ(「耐えろ、私の青い友達よ」など)で私をからかったり、アナキン役の男の子を「スカイウォーカー人形」と呼んだりするようになった。

 大半の人にとっては『エピソード1』が失敗作だということなど一目瞭然だったらしい。だが駄作だと私が気づいたのは数カ月後のこと。これも愛がなせる業だ。

『スター・ウォーズ』のファンは新3部作の登場まで長い間待たされた。だがアラン・ムーア原作、デーブ・ギボンズ作画のグラフィックノベル『ウォッチメン』のファンに比べればましだ。86◯87年に12巻が出版されたこのコミックスの実写映画は、今年3月6日にようやく全米公開された。

 監督は『300〈スリーハンドレッド〉』のザック・スナイダー。『ウォッチメン』を初めて読んだのは大学生のときで、「自分のために作られた音楽」と出合ったような気がしたという。

『ウォッチメン』の時代背景は米ソ冷戦期の85年だが、舞台は「スーパーヒーロー」たちが実在するもう一つの世界だ。ニクソン政権は3期目に入り、アメリカはベトナム戦争に勝利。核戦争の脅威が差し迫っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中