疾走の24時間がまた駆け出した
敵はソシオパスの独裁者
もう一人の目立つキャラクターは、バウアーをアメリカに連れ戻そうとする米大使館員フランク・トラメル。演じるのは『アリー myLove』でビリー役だったギル・ベロウズだが、好人物のビリーとは対照的な役柄で、バウアーとはぶつかり合う関係だ。「決して感じのいいキャラクターではないかもしれないけど、ジャック・バウアーを打ち負かす数少ない登場人物の一人だ」とベロウズは言う。
シーズン7のストーリーはまだ極秘扱い。しかし取材中に出演者がポロリともらすこともある。バウアーは米政府関係者によってワシントンに連れ戻され、当然の展開として今回も新しい大統領のために働くことになる。
テイラー大統領は頭の回転が速く、決断力があり、温かい心の持ち主だ。「とても尊敬できる女性だし、高い理想をいだいている」とジョーンズは言う。
そんな彼女も失敗を犯さないわけではない。「最初の30分の間に思い切った政策上の決断をして、それがとんでもない結果を生む。それで、大統領が脅迫されることになって......」。アメリカ大統領が脅迫を受けるって? 「何も言っちゃいけなかったのに!」とジョーンズは笑う。
悪役も『24』には欠かせない。ジュマ大佐は、これまでの悪役と比べてもかなり強烈だ。この冷血な独裁者は、部下に執拗にバウアーを追跡させ、子供たちの命まで奪う。
しかしトッドに言わせると、最初の悪い印象を引きずりすぎないほうがいいという。「見たものをすべてうのみにしてはいけない」と言って、ニヤリと笑う。「人間は誰でも二面性がある」
トッドのお気に入りの場面の一つは、ジュマが勝手にホワイトハウスに乗り込んで、大統領と直接面会する一幕だ。当然、友好的な訪問とは言いがたい。「ジュマはソシオパス(社会病質者)で、ノーと言われるのが嫌いだ」とトッドは言う。この男とバウアーの対決がシーズン7のヤマ場であることは言うまでもない。
『24』は6年間、高い視聴率をかせぎ続けてきたが、永遠に続く連続ドラマなどない。アメリカで11月23日に放送された『リデンプション』の視聴者数は1210万人。立派な数字だが、シーズン6の初回放送が1500万人を超していたことを考えれば、下り坂と言われても仕方がない。