最新記事

海外ドラマ

疾走の24時間がまた駆け出した

2009年4月7日(火)16時34分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

「オバマ時代」のドラマへ

 出演者の年齢の問題もある。サザーランドは41歳。面と向かって話していると、アクションスターというより、礼儀正しい大学教授のように思える(もっとも66歳のハリソン・フォードがインディ・ジョーンズ役を違和感なく演じている例もあるが)。

 サザーランドは少なくとも、あと2シーズンはジャック・バウアーを演じる見通しだ。それに、劇場公開用の映画版の計画もある。映画版は短い時間にストーリーが凝縮する結果、『リデンプション』のように引き締まった作品に仕上がるかもしれない。

「完璧なシーズンなどこれまで一度もなかった」とサザーランドは認める。「リアルタイムで進むストーリーを連続ドラマの形式で描こうと思えば、どうしてもむずかしい面がある。最初のほうはいいし最後もうまくいく。問題はいつもその中間だ。この形式で脚本を書くのは簡単ではない」

『24』シリーズのキモは、現実のアメリカ政治の状況を常に投影して、ストーリーを展開してきたことだ。これまでの6シーズン中のアメリカはまさしくブッシュ政権下のアメリカにほかならなかったし、バラク・オバマが大統領選の有力候補に躍り出るよりひと足早く、ドラマの中では黒人大統領が誕生した。

 そして今度は、『24』に史上初の女性大統領が誕生し、ジャック・バウアーも新しく生まれ変わった。オバマ次期大統領の掲げる二つのキャッチフレーズ――「希望」と「変化」――がこの人気シリーズの新しいテーマになるために舞台設定は整ったようにみえる。

 新シーズンの『24』は、「これまでと違うもの」を求める今のアメリカ社会のニーズを反映したドラマになりそうだ。

[2008年12月17日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中