疾走の24時間がまた駆け出した
一日の出来事を24話に分けてリアルタイムで描くのが、このシリーズの特徴。『リデンプション』では、2時間という短い放送時間で、2時間に起きた出来事を描いている。その時間的な制約のおかげで、引き締まった展開になっていることも好ましい(『リデンプション』は20世紀 フォックス ホーム エンターテイメントより09年3月19日にDVD発売・レンタル予定。シーズン7は同社より09年発売予定)。
新生バウアーが登場する前兆は、実はシーズン6の最後のシーンにすでにあった。独りで海を見下ろすバウアーは、疲れきったように見えた。「シーズン6の最後で、バウアーは政府とつき合うことに嫌気が差してしまって」とサザーランドは言う。「政府の仕事を離れることにしたんだ」
そして、舞台は4年後。バウアーは生まれ変わった。シリーズ開始早々に妻を亡くし、娘と離別するなど、つらい仕打ちに耐え続けてきたが、ついに祖国のために命を懸けるのはごめんだと考えるようになった。バウアーは国や政府のためでなく、自分自身のために行動するようになる。
しかし、ご心配なく。トップエージェントとしての能力はさびついていない。『リデンプション』の中には、敵に捕らわれて拷問を受けるシーンもあるし、友達が爆殺される前に爆発物を爆破させようと奮闘する緊迫のシーンもある。要するにアクションに関しては、ファンをとりこにしたバウアーが健在なのだ。
アフリカで起きているドラマと交互に差し挟まれるのは、ワシントンで進行しているドラマだ。ワシントンではこの日、米史上初の女性大統領アリソン・テイラーが就任式を行おうとしていた。
テイラーを演じるのは、チェリー・ジョーンズ。テレビ界ではあまり知られていないが、ブロードウェイでは名の通った実力派女優だ。堂々とした歯切れのいい話し方は、さながらヒラリー・クリントン上院議員。だが、ジョーンズ自身はクリントンを参考にしたわけではないと強調する。
「私のほうが髪が長いし」と言って、ジョーンズはくすくす笑う。「冗談だけど、私は(フランクリン・ルーズベルト大統領夫人で、政治・社会的な活動で活躍した)エレノア・ルーズベルトとジョン・ウェインの中間っていうことにしてる」
テイラーの就任式の最中に、サンガラのクーデターの一報が飛び込んでくる。政変の背後で糸を引くのは、ベンジャミン・ジュマ大佐(トニー・トッド)。大量虐殺を推し進めた邪悪な独裁者だ。