最新記事

BOOKS

47歳の佐久間宣行が20歳の若者に「育んでほしい」と願うもの

2023年1月12日(木)11時55分
朴順梨(ライター)

――自分はすごくいいと思っていても、周りに認めてもらえるか分からず「好き」を素直に出せない人も多くいます。

僕はやる気が出るタイプというか、「ラッキー!」と思うんですよ。プレゼンした際に皆がキョトンとしてたら、「誰も気づいてない! ラッキー!」って。

皆が「いいね」と言う人やものが当たることもありますが、それだと底割れはしないけれど、平均点で終わることも多い。むしろ賛否両論というか、みんながピンと来ていないものがうまく(視聴者に)届いた時にめちゃくちゃ燃えるんです。

『ゴッドタン』はもう17年続いていて、この先も長生きさせるために、あえて当たりはずれを多くしようと思っています。そうすることで、企画に多様性が生まれるんです。

お笑いファンにだけ向けて作っていくと好みが限定されてしまい、お笑いブームが去った途端に見向きもされなくなってしまう。グラビアアイドルはじめ、お笑い以外の要素を入れていくのは多様性を生み出すためなんです。明らかにお笑いファンには評判悪いですけど(笑)。

20saibook20230112-2-pic2.jpg

Photo:遠藤 宏

光り輝くには、常に視聴者を裏切り続ける必要がある

――あと3年で50歳を迎えますが、50歳に向けて考えていることはありますか?

すごいあります。僕は基本的にネガティブなので、50になるとバラエティやお笑い分野のセンスはズレていくんじゃないかと勝手に思っている。

仕組みで番組は作れますが、お笑いは常に、視聴者を裏切るセンスが要求されます。そのセンスが50を超えるとズレていくんじゃないかなと思っているので、それを踏まえた上で、何を作っていくかを常に考えています。

―― MCのおぎやはぎさんたちも、一足先に50歳を迎えました。

番組が長く続いて年齢が上がっていくと、権威になってしまうこともあるので、そこは常に向き合わなくてはならないと思っています。『20歳のときに知っておきたかったこと』の第11章「これ、試験に出ますか」の中に、


・光り輝くとは、いつでも期待以上のことをすると決意することです。その恩恵ははかりしれません。裏返せば、期待される最低限のことしかしないのは、その機会を自分で台無しにしていることになります。

とあるんですけど、まさにこれです。

番組をただ継続させることはできますが、「光り輝く」番組であるためには、視聴者からの期待に応えるだけではなく、常に裏切り続ける必要がある。だからその都度その都度、仮説を立てて、自分たちが置かれてる場所や課題と向き合いながら、制作を続けていきたいと思っています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、ガザ住民受け入れ巡りアフリカ3カ国

ビジネス

ECBの4月据え置き支持、関税などインフレリスク=

ビジネス

中国新規銀行融資、予想以上に減少 2月として202

ビジネス

独BMW、関税戦争が業績10億ユーロ下押しへ 24
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 10
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中