最新記事
健康

運動が三日坊主で終わるのは、脳のメカニズムのせい。習慣化のコツは「日常動作」に

2022年6月24日(金)10時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
三日坊主

Liudmila Chernetska-iStock.

<健康のためであっても、運動を継続するのは簡単ではない。脳は大きな変化を受け入れるのが苦手で、習慣化には約40時間かかるからだ。12万人の体に向き合ってきた専門家による「運動未満」のススメ>

階段を上がるだけで息が上がる、起きたときから体が重い......。そんな不調や疲労感を抱えている人は多いだろう。コロナ禍で家を出る機会が減り、ますます不健康になった人もいるかもしれない。

じゃあ、運動をすればいい――と言われても、そう簡単ではない。いざスポーツクラブに入会しても、もともと運動習慣のなかった人は、続かずにやめてしまいがちだ。

では「運動未満」だったら?

東京・門前仲町で整骨院と正しい体の動きを身につけるジムを運営する長島康之氏は、病院でリハビリを指導したり、プロスポーツ選手のトレーナーを務めたりして、延べ12万人の体と向き合ってきた。

「長年の不健康習慣がしみついた体を一気に変えようとするのは、脳のメカニズムからしても無理な話」と言う長島氏は、このたび『運動未満で体はととのう』(主婦の友社)を出版した。

どんな人でも健康へのスタートラインに立てるよう、やる気も根性も必要ない方法とコツを分かりやすく解説し、習慣化により「一生動ける体になる」「ぐっすり眠れるようになる」「痛み・疲れがなくなる」......と謳う。

本書に記されたアドバイスは「『立ち方』『歩き方』『呼吸』『朝日を浴びる』など、努力しない前提でできるものばかり」だと、長島氏。本書から一部を抜粋し、2回にわたって掲載する(この記事は第1回)。

◇ ◇ ◇

努力しない前提で始められる、ささいなことを積み重ねて習慣化

習慣化するうえでは脳の特性を知ることが重要です。前述したとおり、脳は大きな変化を受け入れることが苦手です。常に生命を維持するために、危険か安全かを判断しているからです。なるべく現状維持をしていたほうが安全なので、新しい情報を「おや、今までと違うぞ」と判断すると、ブレーキを踏んで抵抗します。新しいことを取り入れるために、今までの習慣とのせめぎ合いが起こるのです。そのため、変化が大きければ大きいほど脳は必死に抗い、その結果、三日坊主になるのです。

急いでゴールを目指すため歩幅を大きくしがちですが、ここはぐっと抑えて、小さな歩幅で進みましょう。ハードルはぐんと下げてかまいません。続けることができるよう忙しい日でも、調子が悪い日でもできそうなことを設定しましょう。

undomiman202206-1-2.png

イラスト:中村知史 『運動未満で体はととのう』59ページより

たとえば、朝起きたら布団の中で伸びをする、カーテンを開ける、起きたら水を1杯飲む、おはようと口に出す、靴を脱いだらそろえる......。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中