最も使える人脈は「友達の友達」 異業種交流会より同窓会に行け
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Rawpixel-iStock.
<仕事で何かあると、身近な人に相談するか、インターネットに頼るという人が多いが、それよりも遠い知り合いや昔の友人に連絡を取るほうがいい。同窓会、前職の元同僚、SNSの「知り合いかも?」......。人と人とのネットワークは科学でここまで分かった>
「大切なのは何を知っているかではなく、誰を知っているかだ」――ビジネスの世界で古くからそう言われているように、「人脈」は成功に不可欠な要素だ。LINEやフェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどを駆使して、より幅広い人脈を築こうと奮闘している人も多いだろう。
だが、単純に人とのつながりを増やすことが、成功する確実な方法ではないという。物理的に多くの人を知っているだけでは目覚ましい成果を挙げることはできず、それどころか、企業や業界のリーダーとのコネが多い人でも最後には勝てない、という研究者もいる。
『ビジネスで使えるのは「友達の友達」――「冬眠人脈」の底知れぬ力』(デビッド・バーカス著、矢羽野薫・雨海弘美・服部真琴訳、CCCメディアハウス)は、人と人とのネットワークを科学的に解き明かすことで、自分にとって最も価値のあるつながりとは何かを教えてくれる。
確かに人脈は重要だが、交流会やパーティーに参加して名刺を配るような人脈作りは自分には向いていない......そう感じている人にとって、本書は朗報となるばかりか、ネットワーク戦略の大きな秘密兵器を授けてくれる。
「自分が誰を知っているか」以上に「彼らが誰を知っているか」
TEDの人気スピーカーでもある著者のデビッド・バーカスは、米オーラル・ロバーツ大学経営学部の准教授で、専門はリーダーシップとイノベーションだ。
イギリスのコンサルティング会社が2年ごとに発表している経営思想家ランキング「Thinkers50」(「経営思想界のアカデミー賞」とも言われる)では、2015年に、ビジネスの未来を形作る可能性が最も大きい新進思想リーダーの1人に選ばれている。
書名からも分かるように、本書を通じて著者が説くのは「友達の友達」の重要性だ。決して「友達」ではない。マーク・ザッカーバーグをはじめとする成功者たちは、そうした「弱いつながり」を戦略的に駆使しているという。それはなぜか。なぜ、親友はビジネスで最も使えない存在なのか。
人脈というのは、名刺の束やアドレス帳に入っている連絡先の数ではない。コンピューターのネットワークと同じように、人間のネットワークも、人と人との「つながりの地図」だ。だからこそ、「自分が誰を知っているか」以上に「彼らが誰を知っているか」が成功のカギになる。
例えば、ハーバード大学の社会学者が行った就職(転職)活動に関する調査によると、「現在の仕事につながる情報をもたらしてくれたのは誰か」という質問に対して、「友人ではなく知り合いだ」と答えた人が多かったという。
より具体的な調査によれば、その相手とどれくらいの頻度で会っていたかについて、最も多かった回答は「ときどき(年1回以上、週2回以下)」(55%強)で、その次が「たまに(年1回以下)」(27%強)。「頻繁(少なくとも週2回)」に会っていたという人は17%未満にとどまっている。