最も使える人脈は「友達の友達」 異業種交流会より同窓会に行け
身近なつながりは1つのネットワークの中にあり「助けにならない」
この結果が示しているのは、職探しのように新しい情報を必要とする場合には、「友人」と呼べる身近で強いつながりよりも、少し距離のある「知り合い」程度の弱いつながりのほうが役に立つ、ということだ。
ほとんどの人は、まず身近な人に相談する。そして、家族や仲のいい友人に話した後は、遠い知り合いや昔の友人に連絡を取ろうなどとは思わず、求人サイトなどインターネットを頼ろうとする。仕事で失敗したときも、ごく親しい仲間だけに打ち明けることが多いだろう。
もちろん、身近なつながりにもメリットはある。つながりが強いほど相手を助けたいという心理が働くため、親身に相談に乗ってくれ、多くの情報をくれることもあるかもしれない。だが、それらが役に立つかどうかは別問題だ。著者によれば「助けにならない可能性が高い」。
なぜなら、強いつながりは大抵1つのネットワークの中にあり、人間関係が重複している場合が多い。クラスタ(かたまり)の中で誰かが知っていることは、ほぼ全員がすでに知っているような状態だ。そのため、自分にとって目新しい情報を得られることは多くないからだ。
その一方で、弱いつながりをたどることは、自分がいるクラスタと相手のクラスタとの間に橋を架けるようなもの。馴染みのない世界を知り、そこから未知の情報を手に入れられる可能性が高まるのだ。そうした情報こそが人生の大きな転換点となった例は、本書でも数多く紹介されている。
客観的基準で比較、弱いつながりのほうが革新的アイデアを生んでいる
さらに、起業家を対象とした調査では、新しいビジネスのアイデアをもたらしたのが「弱いつながり」だった場合のほうが、「強いつながり」から生まれたアイデアよりも独創性が高いことが分かっている。特許出願や商標登録の数という客観的基準で比較しても、ずっと革新的だったという。
つまり、「自分が得る情報を最大限に多様化して最大限の機会を創出するためには、強いつながりの枠を超えて、弱いつながりから新鮮な視点を得ることが必要」なのだと著者は述べる。
行き詰まったときや難しい課題に直面したときは、少し勇気を振り絞って、弱いつながりの知り合いと連絡を取ってみてはどうだろうか。同窓会に顔を出したり、前職の元同僚に連絡したり、あるいはSNSで表示される「共通の知り合いかも?」に接触したり......。特に問題を抱えていないときでも、昔の友人など「休眠状態のつながり」を復活させることは、新たな視点の獲得につながるはずだ。