話題のモンテッソーリ教育を、家庭で実践する秘訣
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<中学生プロ棋士、藤井四段の活躍で注目を集めるモンテッソーリ教育の特徴とは? モンテッソーリ教育をベースに独自の子育てメソッドを確立し、2人の子供を東大生と早大生に育てた楠本佳子氏に聞いた>
史上最年少の14歳2カ月でプロ将棋棋士となり、デビュー戦以来、公式戦の連勝記録を30年ぶりに更新した藤井聡太四段。まだ中学生とは思えない集中力と落ち着きぶりに、同世代以下の子供をもつ親ならば「どうすれば、こんな子供に育てられるのか?」という興味も湧くだろう。
そこで注目され始めているのが、藤井四段も幼稚園時代に受けたという「モンテッソーリ教育」だ。20世紀初頭、イタリアで最初期の女性医学博士となったマリア・モンテッソーリが構築した教育法で、子供の自立心を育むとして世界中で取り入れられている。
モンテッソーリ教育を受けた著名人は多く、バラク・オバマ元米大統領を筆頭に、「マネジメントの父」ことピーター・ドラッカーや、イギリス王室のウィリアム王子とヘンリー王子、そして当然、ウィリアム王子の長男ジョージ王子も学んでいるという。
だが、もっと注目すべきは次の名前だ――ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン(グーグル創業者)、ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)、ジミー・ウェールズ(ウィキペディア共同創始者)。
世界を変えるイノベーションを起こした起業家たちも学んでいたという事実から、モンテッソーリ教育は自立心を育てるだけでなく、新しい発想を生み、それを実現する力をも養えるとして、にわかに脚光を浴びている。
そこで、話題の育児書『12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣』(CCCメディアハウス)の著者である楠本佳子氏に、モンテッソーリ教育の要点と、家庭で実践する方法について話を聞いた。2人の子供を東大生と早大生に育てた楠本氏の子育てメソッドも、やはりモンテッソーリ教育がベースにあるという。
――モンテッソーリ教育との出合いは?
実は私も、もともとはモンテッソーリ教育なんてまったく知りませんでした。夫の転勤で引っ越した先で、当時3歳だった娘を近所の幼稚園に入れたところ、たまたまモンテッソーリ教育を取り入れていたのです。
衝撃を受けたのは参観日です。その幼稚園では、年少から年長までが広いひとつの部屋にいたのですが、「おしごと」と呼ばれる作業時間になると、丸1時間、だれひとり一言もしゃべらないのです。先生方も一言も発しません。
部屋には「教具」と呼ばれるおもちゃがたくさん置いてあって、子供たちは自分が好きなもので遊んでいいのですが、なかには、やり方がわからないものもあります。そんな場合でも、先生は一切しゃべらずに教えます。身振り手振りではなく、先生が実際にやる動きをじっと見させるのです。
こんなに小さな子供が大勢いて、だれも一言もしゃべらないなんてことが可能なのか!と、とにかく衝撃的な光景でした。将棋の藤井四段は集中力がすごいと言われていますが、こうした時間を小さいうちに経験したことが、その秘密かもしれません。
【参考記事】東大生に育てたいなら、子供を「他人」と思いなさい