最新記事

インタビュー

話題のモンテッソーリ教育を、家庭で実践する秘訣

2017年7月31日(月)12時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

――具体的にどういった点がモンテッソーリ教育の特徴なのか?

モンテッソーリ教育は子供の自立心や自主性を育むと言われていますが、そのもとになっているのは「観察」ではないかと、私は思っています。

どんなに好きで得意でも、ずっと同じ教具で遊んでいると、それ以上の成長や発展がありません。そこで、ある程度できるようになったら、先生が別の教具を提案するのですが、それには、ひとりひとりの上達ぶりや、どういうものが好きか、何が苦手かを把握しておかなくてはいけません。そのために必要なのが「観察」です。

子供の教育に熱心な親ほど、「うちの子はこれが好きなはずだ」と一方的に与えてしまいがちですが、子供自身が本当に好きなものでなければ上達しませんし、そもそも長続きしません。

反対に、自主性を重んじるという理由で、子供が「やりたい」と言うことだけをさせるのもよくありません。なぜなら、子供は知らないことだらけだからです。狭い世界の中だけで「好きなこと」「やりたいこと」を探させると、かえって子供の可能性をつぶしてしまいます。

大人(親)がじっくりと観察して、子供が自主的に興味をもつものを探りながらも、時には新しいものを見せたり、ふだんと違った挑戦をさせたりすることで、子供自身が知らなかった興味や好奇心を発掘し、可能性を広げてあげることが必要なのだと思います。

引っ越し先にモンテッソーリ教育の幼稚園がなく、自分で試行錯誤した

――モンテッソーリ教育を家庭で実践するには?

私はずっと、子供がラクに楽しく勉強できて、かつ学力を伸ばせる方法はないかと考えていました。娘がたまたま入った幼稚園でモンテッソーリ教育を知り、これこそ探していたものだと思ったのですが、またもや夫の転勤で引っ越してしまい、新しい街には希望する幼稚園がありませんでした。

しかし、幼稚園の「親のための勉強会」などを通して、モンテッソーリ教育の根底にある考え方は学んでいました。そこで、引っ越し先にないんだったら自分でやるしかない!という思いで、娘と3つ下の息子をとにかく「観察」することから始めたのです。これが、独自の子育てメソッドを築く土台になりました。

観察の結果、子供の好きなものが分かったら、そこから発展させることを考えます。例えば息子は「プラレール」という電車のおもちゃが大好きだったので、電車から広げて、地図を買ってみました。すると息子は興味を示して、それ以降、東大に合格するまでずっと地理が大得意科目でした。

【参考記事】 1人の時間が必要な内向型、人と会って元気になる外向型

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中