話題のモンテッソーリ教育を、家庭で実践する秘訣
――具体的にどういった点がモンテッソーリ教育の特徴なのか?
モンテッソーリ教育は子供の自立心や自主性を育むと言われていますが、そのもとになっているのは「観察」ではないかと、私は思っています。
どんなに好きで得意でも、ずっと同じ教具で遊んでいると、それ以上の成長や発展がありません。そこで、ある程度できるようになったら、先生が別の教具を提案するのですが、それには、ひとりひとりの上達ぶりや、どういうものが好きか、何が苦手かを把握しておかなくてはいけません。そのために必要なのが「観察」です。
子供の教育に熱心な親ほど、「うちの子はこれが好きなはずだ」と一方的に与えてしまいがちですが、子供自身が本当に好きなものでなければ上達しませんし、そもそも長続きしません。
反対に、自主性を重んじるという理由で、子供が「やりたい」と言うことだけをさせるのもよくありません。なぜなら、子供は知らないことだらけだからです。狭い世界の中だけで「好きなこと」「やりたいこと」を探させると、かえって子供の可能性をつぶしてしまいます。
大人(親)がじっくりと観察して、子供が自主的に興味をもつものを探りながらも、時には新しいものを見せたり、ふだんと違った挑戦をさせたりすることで、子供自身が知らなかった興味や好奇心を発掘し、可能性を広げてあげることが必要なのだと思います。
引っ越し先にモンテッソーリ教育の幼稚園がなく、自分で試行錯誤した
――モンテッソーリ教育を家庭で実践するには?
私はずっと、子供がラクに楽しく勉強できて、かつ学力を伸ばせる方法はないかと考えていました。娘がたまたま入った幼稚園でモンテッソーリ教育を知り、これこそ探していたものだと思ったのですが、またもや夫の転勤で引っ越してしまい、新しい街には希望する幼稚園がありませんでした。
しかし、幼稚園の「親のための勉強会」などを通して、モンテッソーリ教育の根底にある考え方は学んでいました。そこで、引っ越し先にないんだったら自分でやるしかない!という思いで、娘と3つ下の息子をとにかく「観察」することから始めたのです。これが、独自の子育てメソッドを築く土台になりました。
観察の結果、子供の好きなものが分かったら、そこから発展させることを考えます。例えば息子は「プラレール」という電車のおもちゃが大好きだったので、電車から広げて、地図を買ってみました。すると息子は興味を示して、それ以降、東大に合格するまでずっと地理が大得意科目でした。
【参考記事】 1人の時間が必要な内向型、人と会って元気になる外向型