ANAがトヨタの「カイゼン」を導入...他社が失敗するなか、非製造業なのに成果を出せた理由
その結果、カイゼンするべきことはスルーされてしまい、高い品質にも、高い生産性にもつながらないままカイゼンが立ち消えしてしまうのです。カイゼンすべきことに気づいていても、気づいていない振りをしたり、いいことなのに、言うとやらなければならなくなるので言わなくなってしまうのです。
これでは、カイゼンが失敗に向けて加速してしまいます。
カイゼンを導入してこのような現象が起こるのは本末転倒です。
カイゼンを導入するにあたり、これは絶対に避けたいことでした。そこで私たちはカイゼンを導入する際に「会社が成果を横取りせず、カイゼンを実行した社員にその成果を還元する」と伝えました。
つまり、「カイゼンは社員自身の仕事が楽になるために使う」ということと、「会社が果を横取りしない」ということを、社員に約束したのです。
トップ層は「なにもするな」
カイゼンを導入するときには、組織やチームのトップが社員たちを引っ張っていくエネルギーが必要です。
ANAでも最初にカイゼンを整備部門に導入する際には、当時の整備センター長が強く推し進めていきました。全社に展開するときには、当時のANAグループの社長が推進しています。
多くの会社でも同じように、まずはトップが「カイゼンを導入する」と決意し、導入に踏み切ることでしょう。
しかし、トップが前に出過ぎるとカイゼンは定着しません。
トップやマネジメント層がやりがちなのが、「監視」「管理」してしまうこと。カイゼンを成功させたいという気負いが出てしまって、全員参加を義務づけたり、現場の社員に定期的に進捗を報告させたりしてしまいます。トップからの働きかけが必要なこともあるでしょうが、往々にして「やり過ぎ」てしまうのです。