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いま金の価格が上がり続ける不思議

Gold Is Back in a Big Way

2025年1月22日(水)20時15分
ニティシュ・パーワ(スレート誌ライター)

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コストコでは金の延べ棒が月に2億ドル売れた CLARK HODGINーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

コロナ禍のさなかに、金マニアの世界では奇妙なトレンドが広がった。それまで金に興味を持つ人々の大半は、形のある金(宝飾品やコインなど)を入手していたが、この時期から金を裏付けとするETF(株価指数連動型上場投資信託)にも関心を示すようになったのだ。ETFは金に対する投資をより手軽に、かつバーチャルに行える手段だ。

2020年、この2つの需要は一時的に同じレベルに達したが、その後大きく異なる道をたどることになった。実物の金の需要は過去最高を記録する一方、金ETFの需要は大幅に減少した。これは、多くの金投資家が市場を通じた金取引への信頼を失い、実物の金を持つことを選択したことを意味している。


新型コロナが猛威を振るっていた時期の終末論的な雰囲気やロックダウン(都市封鎖)の影響によって、より多くの一般消費者が安全な備えとして金を保有するようになったのだ。社会がようやく回復に向かい始めてからも、彼らは金を持ち続けた(金ETFが需要を取り戻し始めたのは、ようやく最近のことだ)。

2021年頃の回復期のもう1つ重要なトレンドは、各国の中央銀行が、インフレが問題になり始めても利上げをためらっていた米ドルへのヘッジとして、金を大量に蓄積し始めたことだ。2022年のロシアによるウクライナ侵攻によって新興経済国で強まった「脱ドル化」を急ぐ動きは、国際準備資産としての金の魅力をさらに高めた。

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