最新記事
投資

いま金の価格が上がり続ける不思議

Gold Is Back in a Big Way

2025年1月22日(水)20時15分
ニティシュ・パーワ(スレート誌ライター)

newsweekjp20250122022823-61ba0be58c6c4a3716f7f5d1f0b8a6c46450e698.jpg

金のチェーンを愛用するザッカーバーグ AP/AFLO

その一方で民主党の重鎮であるロバート・メネンデス上院議員は、エジプトの政府や実業家から賄賂として受け取っていた金の延べ棒を自宅地下室に隠していた。オープンAIのサム・アルトマンCEOは世界の終末に備えて、カリフォルニア州の私有地に銃やガスマスクなどのほか金を備蓄しているという。

みんな、こんなにも金が好きなのだ。サウスダコタ州の丘陵地帯で金の採掘が続いているのも不思議ではない。


アメリカ人にとって、金は常にステータスシンボルだった。貯蓄の目減りを心配する高齢の退職者にとっては、飛び付きたくなる誘い水であり、彼らが視聴する右派のテレビ局やラジオ局にとっては賢明な広告の選択肢だった。

しかし現在の金ブームには、従来の説明では片付けられない部分がある、今は貴金属価格がこれほど長期的に、かつ大きく上昇するような経済環境ではないのだ。

金価格が高騰するのは、一般的に経済環境が今の状況とはほぼ真逆のとき──GDPの見通しが悪く、低金利でドル安、そして投資家や消費者が神経質な時期だ。実際の経済はコロナ禍などの影響で過去5年ほど奇妙な動きを見せてきたが、現在の金利はおおむね高止まりしていて消費者心理は劇的に改善、おまけにドル高。それなのに金は高値を付けている。

通常、金価格は経済運営の状況を正しく反映する指標とされている。だが現在の金価格は、統計学で他のデータと比べて極端な値を指す「外れ値」になっているようだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中