いま金の価格が上がり続ける不思議
Gold Is Back in a Big Way
この頃、世界経済が回復に向かっていたことは確かだが、まだ全てが混沌としていた。世界中の国々の通貨がインフレで価値を失い、アメリカと米ドルは以前ほど堅固ではなくなり、いくつもの戦争が勃発した。このような状況では、中国やシンガポール、インド、ジンバブエ、ポーランド、トルコなどの国々が自国のために金を確保しないはずがない。
金融アナリストらは金相場の上昇はまだピークに達していないとみており、近い将来にさらに記録的な高値を付けるだろうと言い立てている。地政学的な不安と政府への不信感が金に対する関心を支えていることが、主な理由だ。
金の需要と価格がこれほど広範な規模で上昇すると、その波及効果は避けられない。西アフリカでは搾取的な金鉱山が開業、あるいは再開業している。
現在の経済の奇妙さに頭を抱えるトレーダーたちは、テレビの金融チャンネルで金の安定性を説いている。隣にあるのは、金関連のスポンサーが支える右派チャンネル。今の世界の混乱を大げさに騒ぎ立て、高齢の退職者を怯えさせ、この世に安全で安定したものはほかにないと思わせる。
金は永遠なり、である。
2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら