最新記事
日本経済

日本企業の中間決算、上方修正の期待...株高連動か不透明

2024年10月17日(木)21時15分

消費関連は「二極化」

賃上げとインフレの好循環への思惑を背景に、内需株は「極端な円安がなければ業績は底堅そうだ」と三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長はみている。ただ、消費関連では生活防衛の意識も根強く「二極化の様相がうかがわれる」(北沢氏)という。

先立つ小売り企業の決算では、生活必需品や食品を手掛けるイオンなどのスーパーやコンビニでは節約志向がみられた一方、ユナイテッドアローズやパルグループホールディングスなど「消費者の支持を集める独自商品を手掛けたり、インバウンド需要を取り込める企業は好調」(北沢氏)となり、濃淡が生じた。


 

7─8月にはインバウンド客数の伸びが鈍化した。円高の影響だけでなく、南海トラフ地震臨時情報の発出や巨大台風が迷走したことなどの影響があったとみられる。一時に比べ足元では円高が一服しており、客足の戻りが確認されるか、経営陣による先行きの見通しも材料視され得る。

インフレ好循環が続き、インバウンドの伸びが継続するなら、回転ずしチェーンなどの外食産業や土産菓子を手掛ける寿スピリッツなども有望視され得るという。

底入れ探る自動車

輸出関連株の代表格となる自動車株は、為替見通しの円高方向の修正や生産の戻り具合が焦点になるとして「下方修正含み」と東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストはみている。

日産自動車はドル/円の想定レートを155円としており、円高方向に修正されると為替差益が目減りしかねないと想定されている。

トヨタ自動車を含め、在庫水準が高まったことで、生産の伸びが会社の期初の想定を下回った可能性があるとみられており「先行き在庫調整が進んで値引きの悪影響が縮小するかどうかを確認する必要がある」と東海東京の杉浦氏は話している。とりわけ北米で在庫が積み上がっている日産やマツダは値引きが目立っており、業績へのネガティブインパクトが大きくならないかが警戒される。

株主還元拡充への思惑は根強く、決算に併せて発表があれば物色材料になり得る。日産やマツダの配当利回りは5-6%程度と高く、株価の下値を支える可能性がある。一方、トヨタの決算は米大統領選と日程が重なることもあって、発表直後は織り込みにくさも意識されそうだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ニデック、差し止め求め仮処分申し立て 牧野フのTO

ビジネス

英CPI、3月は前年比+2.6%に鈍化 今後インフ

ワールド

米政府、ウクライナ支援の見積もり大幅減額─関係者=

ワールド

焦点:米関税「見直し」求め閣僚協議へ、先陣切る日本
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中