日本企業の中間決算、上方修正の期待...株高連動か不透明
消費関連は「二極化」
賃上げとインフレの好循環への思惑を背景に、内需株は「極端な円安がなければ業績は底堅そうだ」と三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長はみている。ただ、消費関連では生活防衛の意識も根強く「二極化の様相がうかがわれる」(北沢氏)という。
先立つ小売り企業の決算では、生活必需品や食品を手掛けるイオンなどのスーパーやコンビニでは節約志向がみられた一方、ユナイテッドアローズやパルグループホールディングスなど「消費者の支持を集める独自商品を手掛けたり、インバウンド需要を取り込める企業は好調」(北沢氏)となり、濃淡が生じた。
7─8月にはインバウンド客数の伸びが鈍化した。円高の影響だけでなく、南海トラフ地震臨時情報の発出や巨大台風が迷走したことなどの影響があったとみられる。一時に比べ足元では円高が一服しており、客足の戻りが確認されるか、経営陣による先行きの見通しも材料視され得る。
インフレ好循環が続き、インバウンドの伸びが継続するなら、回転ずしチェーンなどの外食産業や土産菓子を手掛ける寿スピリッツなども有望視され得るという。
底入れ探る自動車
輸出関連株の代表格となる自動車株は、為替見通しの円高方向の修正や生産の戻り具合が焦点になるとして「下方修正含み」と東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストはみている。
日産自動車はドル/円の想定レートを155円としており、円高方向に修正されると為替差益が目減りしかねないと想定されている。
トヨタ自動車を含め、在庫水準が高まったことで、生産の伸びが会社の期初の想定を下回った可能性があるとみられており「先行き在庫調整が進んで値引きの悪影響が縮小するかどうかを確認する必要がある」と東海東京の杉浦氏は話している。とりわけ北米で在庫が積み上がっている日産やマツダは値引きが目立っており、業績へのネガティブインパクトが大きくならないかが警戒される。
株主還元拡充への思惑は根強く、決算に併せて発表があれば物色材料になり得る。日産やマツダの配当利回りは5-6%程度と高く、株価の下値を支える可能性がある。一方、トヨタの決算は米大統領選と日程が重なることもあって、発表直後は織り込みにくさも意識されそうだ。