最新記事
BOOKS

「本を出したい」人必見...出版社への企画の持ち込みを成功させるコツ【出版業界】

2024年9月27日(金)17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

時の運?のようなものもある

そのとき興味を持っているテーマや、その編集部で進行している別の企画など、こちらからはあずかり知らないことが原因で、企画が通ったり通らなかったりすることもままあります。

それくらい、出版というのは〝水物〞だと感じます。ですから、一度のトライで諦めずにいろんな人に話を聞いてもらうのがよいと思います。

企画持ち込みをしたことがある人の話を聞くと、一度断られて意気消沈してしまったという人が多いようですが、ブラッシュアップをして別の出版社に持ち込むことも検討してみましょう。

ただし、同じ企画を同時並行で別の出版社(や編集者)で進めるのはマナー違反ですので、次の出版社に持ち込むのは企画がボツと言われてからにしましょう。

出版社によって「想定マーケットのサイズ」が違う

「このテーマはうちの出版社で扱うサイズ感ではない」と言われたケースについても解説します。

ある書籍の企画を持ち込んだときに、「その企画は、少し市場が小さいと思うんです。うちの出版社は、10万部を狙える企画じゃないと通りにくくて」と言われたことがあります。逆に、「うちは1万部を目指せる二匹目のどじょうしか狙いません(キリッ)」と、清々しく断られた出版社もあります。

10万部超えを狙う出版社であれば、読者数が少ないジャンルの本は出にくいです。同じお金の本でも、稼ぎ方や貯め方といった本の企画は通っても、個人年金の書籍となると、難しいかもしれません。これは、読者が存在するマーケットのサイズ感に関係します。

自分の企画のサイズを見極める

自分の本を出したいと思ったときには、自分が伝えたいと思っているコンテンツが、どのマーケットサイズのコンテンツであるかを見極める必要があります。そして、そのサイズ感の書籍の企画が通りやすい出版社であるかどうかを考えます。

お金に興味がある【Aゾーン】>資産運用に興味がある【Bゾーン】>個人年金の使い道に興味がある【Cゾーン】

Aゾーンのサイズ感の書籍づくりが得意な出版社もあれば、BゾーンやCゾーンの書籍づくりが得意な出版社もあります。

もちろん、マーケットのサイズが大きければよいというものではありません。そういったマーケットにはすでに多くの書籍がひしめきあっていますので、競争も厳しくなります。一方、マーケットのサイズが小さすぎれば、商売になりません。

しかし、BゾーンやCゾーンでも、そのマーケット内で多くの読者数を獲得できれば、Aゾーンの売れない書籍よりも部数が大きくなる可能性もあります。

◇ ◇ ◇

「本を出したい」POP

「本を出したい」POP


佐藤友美(satoyumi)

ライター/コラムニスト 1976年北海道知床半島生まれ。テレビ制作会社勤務を経て文筆業に転向。日本初のヘアライターとして、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)や『書く仕事がしたい』(CCCメディアハウス)、『ママはキミと一緒にオトナになる』(小学館)などを執筆。自著はすべて重版している。わかりやすい解説でテレビ・雑誌・講演などの出演オファーが絶えない。自身の著作のみならず、ビジネス書、実用書などの執筆・構成を手掛ける書籍ライターとして50冊以上の書籍の執筆に関わっている。特筆すべきは、自著・ライターとしての書籍63冊のうち29冊は持ち込み企画であることと、持ち込み企画のほうが重版率が高いこと。

近年は、日本で最も入塾倍率が高いと言われる「さとゆみビジネスライティングゼミ」を主宰。ライターだけではなく様々な職業のビジネスパーソンを「書ける人」に育てている。卒ゼミ生と運営するメディアCORECOLOR(コレカラ)の人気連載「編集者の時代」には、ベストセラー編集者が続々登場し、出版業界で話題を集めている。

「本を出したい」書影

『本を出したい』
 佐藤友美[著]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中