相手の「本音」を引き出すための、たった1つの質問とは? 国山ハセンさんが身につけた「対話」の力
──ハセンさんはこうした引き出しを増やすために、「こういう領域にアンテナを立てている」というのはありますか。
それでいうと、仕事中に限らず、アンテナはずっと立てているかもしれないです。日々の自分の感情や相手の言動に対しても、「なぜこの人といると居心地がいいのだろう?」などと、その背景を分析するのが日常になっています。「私はこう考えたけれど、別の角度から見たらどうか?」とか。できるだけ現状を客観視して、多角的なものの見方を意識しているんです。
──異なる視点を得ること、そしてメタ認知を習慣化されているのですね。
放送後の「オンエアチェック」で鍛えられた面もあるかもしれません。アナウンサーの新人時代から、毎日自分の出た放送をチェックして、改善点をメモしていました。ビジネスパーソンなら、商談などの様子を録画してセルフチェックするのもおすすめです。自分の気になるクセを直視するのは苦痛ですが、くり返すうちに慣れていきます。
「提案型」ファシリテーションで、場全体がポジティブな空気になる
──ファシリテーションをされる際に心がけている点についても教えていただけますか。
1つは、聞き手の一人ひとりから意見を聞くのではなく、参加者同士の横の会話が生まれるような仕掛けをして、双方向に語り合う形式を意識することです。参加者同士で話がふくらみ、場全体の一体感が醸成できるよう心がけています。
もう1つ大事にしているのは、相手の話に意見をいいたいときに「提案型」スタイルをとること。反論するのではなく、「さっきの話に関して、こういう考え方もできると思うんですけれど、どうですか?」と提案の形にするほうが、ポジティブに対話が進みます。
もちろん、賛成反対に分かれて批判的に意見を戦わせるスタイルにもメリットはありますが、こうしたスタイルは世の中にあふれています。大事なのは、参加者がこの場を楽しめたと思えるかどうか。多種多様な意見を積み上げていくほうが、参加者は「自分の意見も聞いてもらえた」と思えるし、最終的に場全体がポジティブな空気感になる。そのほうが、視聴者にもポジティブな印象を与えられると考えているのです。
──提案型のほうが参加者同士の関係性にもプラスになりますね。
そうですね。この提案型のファシリテーションは会議の司会などにも応用できると思います。