人工微生物「スマートセル」でサステナブルなものづくりを切り開け ! 「バイオものづくり」は温暖化対策と持続可能な経済成長の二兎を追う
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デジタル(AI・IoT)
デジタル技術の進歩は、DNAを解析する作業をより安価かつ高速で行うことを可能にした。人間のDNAは2003年に解読が完了したが、当時は一から解読を行おうとした場合、10年の歳月と1億ドルの資金が必要だった。それが現在では、わずか1日と1,000ドルで解読できるようになっている。また、今後は深層学習や機械学習がいっそう進展することで、最適なスマートセルのデザインを導き出す作業をより短期間で効率的に行うことが可能になると期待されている。
ロボティクス
現代では、ロボットアーム技術の進歩などにより、スマートセルを構築する作業を、たとえば24時間体制でミスなく均一な質で再現できるようになった。
人と自然の共生と持続的な経済成長を叶える「バイオエコノミー」
バイオテクノロジーは既に私たちの生活に深く関わり始めている。とりわけ注目されているのが、医薬品分野だ。
新型コロナウイルスに対する効果で知名度を上げた「メッセンジャーRNAワクチン」は、ターゲットとなるウイルスのDNAを解析して設計し、バイオテクノロジーを用いて製造したものだ。その他にも、バイオものづくりでつくられた物質が、これまで治せなかった病気に対するワクチンや治療薬となって、既に市場に多く流通している。
一方で工業分野では、化石燃料でつくられていた物質や製品をバイオものづくりで代替するためには、顧客の求める品質を維持しつつ、低コストで大量生産することが商業上の大きな課題だった。しかし近年では、いままで越えられなかったハードルを越えて、実用化に成功したバイオものづくり製品が続々と登場している。
たとえばカネカは、植物油脂を原料とし、スマートセルが直接つくりだす生分解性バイオプラスチックを開発した。土壌中はもちろん、海水中でも生分解されるのが特長だ。「カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®」のブランド名で、ストローやスプーン、エコバッグなどさまざまな製品に使われている。
また、山形県鶴岡市のバイオベンチャーであるSpiberは2013年、スマートセルの活用により、細くて高強度なタンパク質素材であるクモの糸を人工的に量産化することに成功した。ゴールドウインとの共同開発によって、この素材を採用したアウトドアウエアがザ・ノース・フェイスから発売されている。