人工微生物「スマートセル」でサステナブルなものづくりを切り開け ! 「バイオものづくり」は温暖化対策と持続可能な経済成長の二兎を追う
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新時代のバイオものづくりのアイコン、人工微生物「スマートセル」
新時代のバイオものづくりは、自然界には存在しなかった微生物を人工的にバイオテクノロジーを用いて生み出すところから始まる。その人工微生物は「スマートセル」と呼ばれ、スマートセルが物質の生産を行いる。スマートセルをつくる際には、遺伝子組換え技術(DNA合成)やゲノム編集技術などのバイオテクノロジーが重要な役割を果たす。
新時代のバイオものづくりが急速に発展したのは、バイオテクノロジーにデジタル、ロボティクスといった複数の先端テクノロジーが融合しつつあることが背景にある。
POINT① スマートセルの生産プロセスにおいては、物質を生産する微生物のDNA配列を設計する「Design」、そのDNA配列に合わせて実際に微生物を構築する「Build」、つくり出した微生物の生産能力を評価する「Test」、実験データを学習する「Learn」の4つの工程「DBTLサイクル」が行われている。
POINT② DBTLサイクルによりつくり出されたスマートセルは、生物由来の物質(バイオマス)やCO2などを原料として、バイオ燃料やバイオ化学品といった有用物質を効率よく製造することができる。
新時代のバイオものづくりを支える3つの先端テクノロジー
新時代のバイオものづくりを支える技術について、もう少し詳しく説明しよう。代表的な技術としては、「バイオテクノロジー(DNA合成・ゲノム編集)」、「デジタル(AI・IoT)」、「ロボティクス」の3つがあげられる。これらの技術を融合させ、人類と地球環境の共存と経済成長を両立させることが、バイオものづくりの醍醐味だ。
バイオテクノロジー(DNA合成・ゲノム編集)
DNA合成は、DNAをゼロから人工的につくりだす技術だ。これにより、スマートセルがより自在に生み出せるようになった。近年までは、長いDNAをつくるには技術的な限界があり、スマートセルの設計にも制約があった。しかし、神戸大学発のベンチャーであるシンプロジェンは、枯草菌を利用してDNA合成を行う手法を開発し、従来は困難だった長いDNAの合成を実現。これにより、生み出されるスマートセルはより多種多様となることが期待される。
ゲノム編集は、微生物のDNAを任意の場所で切断する技術だ。2012年に「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」というゲノム編集ツールが登場したことで、従来よりも誰でも簡便にスマートセルをつくれるようになった。近年では既製のツールや簡単な自作キットが試薬メーカーから売り出され、基礎知識があれば誰でも扱えるほど身近な技術となっている。