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人工微生物「スマートセル」でサステナブルなものづくりを切り開け ! 「バイオものづくり」は温暖化対策と持続可能な経済成長の二兎を追う

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2024年6月3日(月)10時00分
文:和田龍彦、イラスト:大野文彰
スマートセルを中心にしたバイオエコノミーのイメージ図

「バイオものづくり」という言葉を聞いたことはあるだろうか? 古くは発酵と呼ばれ、お酒、チーズ、パン、納豆など、人類が先史時代から行ってきたものづくり手法の発展形だ。新時代のバイオものづくりは、幅広い産業分野へ活用でき、カーボンニュートラルの実現といった環境問題の解決と、持続的な経済成長の達成との二兎を追える道として期待されている。可能性に満ちたバイオものづくりの世界とは?

お酒やパンも、バイオものづくりの仲間

バイオものづくりは、我々の身近に溢れているものづくりだ。代表例として、ビール、日本酒、醤油、味噌、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品がある。こうした伝統的な発酵食品は、微生物(酵母、乳酸菌、カビなど)の力を借りて小麦やお米などの植物を発酵させ、生産される。

バイオものづくりでつくられる物質は食品だけに限らない。たとえば、トウモロコシやサトウキビをアルコール発酵させ、手指消毒剤として利用されているエタノールをつくることができる。この植物由来のエタノールは、環境に配慮した原料としてコンビニのレジ袋などにも使われている。

伝統的なバイオもの作りと最新のバイオもの作り

発酵食品に代表される伝統的なバイオものづくりでは、自然界に存在する酵母などの微生物が生来持つ機能を活用し、原料を食品に加工する。これに対して最新のバイオものづくりは、まず目的の物質をつくれるようにバイオテクノロジーなどによって機能を改変した微生物をつくり、それを活用して生産を行う。機能をデザインすることで、食品はもちろん化粧品素材、バイオ燃料、タイヤゴム素材、医薬品原料など、さまざまなものをつくることができる。

新時代のバイオものづくりは、生物由来の"環境にやさしいものづくり"です

新時代のバイオものづくりのメリットは、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を原料とせずに、物質の生産を行えることだ。化石燃料は埋蔵量が限られており、将来的になくなるとされている。また、化石燃料を使ったものづくりは高温高圧下で行われるが、バイオものづくりは常温常圧の自然条件下で行われるため、製造の過程において多くのエネルギーを必要とせず、CO2排出量も低いのが特徴だ。

さらに微生物にはCO2を吸収したり廃棄物を分解できるものが多く存在する。この機能を利用することで、CO2や廃棄物を原料としたものづくりが可能となる。カーボンニュートラルを実現するための方法として、大きな可能性を秘めているのだ。

一方で、新時代のバイオものづくりには、これまで大きな課題があった。大量生産に成功するまでの研究開発に膨大な「時間」と「コスト」を費やしていたことだ。しかし、急速に進歩したバイオテクノロジーとさまざまな領域の最新テクノロジーが融合することで、それが解決されつつある。

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