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独自技術で、ファッション界に挑戦する京セラ──新製品はいかに市場に革命をもたらすのか?

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2023年8月21日(月)10時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「環境保全の呼び水になりたい」

今回の「FOREARTH」を生み出した背景には開発体制にもあるという。京セラは、10人程に細分化されたグループが生産性・効率性向上に取り組む「アメーバ経営」を取り入れている。一方で京セラが大企業になる過程で、各アメーバ間や各事業部間の交流が薄くなり、京セラ全体としてのシナジーが十分に活かされにくい状態になっていたという。

そこで新規事業開発の実施にあたり、それぞれの事業部やアメーバが持っている技術を集め、部署横断型新規プロジェクトを行う号令がかかった。この新規事業創出のミッションを推進しているのが、執行役員 経営推進本部長の濵野太洋氏だ。

濵野氏は「FOREARTH」開発にあたり、プリンターを設計するエンジニア、インクの専門家、プリントヘッドの専門家、セラミック部分の開発エンジニア等エース級の人材を各部署より集めた。同氏は、FOREARTHの完成に至った過程を、こう語る。

「やりたいことの実現に向け、得意な人たちを集めました。そしてチーム全体でファッション業界の課題を勉強・解決方法の議論をしながら、コンセプトのチューニングを行いました。」

執行役員 経営推進本部長の濵野太洋氏

執行役員 経営推進本部長の濵野太洋氏。「FOREARTH」のチーム編成をまとめた。


「創業者の稲盛はずっと『共生(Living Together)』を経営思想として掲げていました。これは環境保全、特に生物多様性に沿う部分です。これらからの時代は、皆で共生をすることがより一層重要な時代となり、地球環境保全への取り組みが進んでいきます。FOREARTHを通じて、京セラは環境保全の『呼び水』になりたいと思っています」、と濵野氏は述べた。

そのうえで、同氏はこう意気込む。

「その為には、まず環境意識が高く、高級ファッションブランドが集中している欧州で挑戦をする必要がある。そうすることで、京セラの経営理念である『人類、社会の進歩発展への貢献』を、ファッション業界で行っていけるのではないかと考えます」

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