最新記事
最新技術

独自技術で、ファッション界に挑戦する京セラ──新製品はいかに市場に革命をもたらすのか?

PR

2023年8月21日(月)10時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
インクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」

99%節水可能なインクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」

<ファインセラミックスを中心に独自技術で、様々な業界の変革を支えてきた京セラ。次なる目標は「ファッション業界」の革新。99%節水のインクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」で、新たな変革に挑む>

「誰もやっていないことをやるのが宿命」――創設者稲盛和夫の信念のもと、ファインセラミック部品、半導体関連部品、電子部品、太陽電池、通信端末や複合機など多方面の分野でさまざまな独自の技術を生み出し、業界の課題解決に貢献してきた京セラグループ。同社が新たな独自技術を携えて次に挑戦する目標が、「ファッション業界の環境革命」だ――。

京セラは今秋、ほぼ水を使わずに生地を染色するインクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」の販売を開始する。衣類などテキスタイルに染料を利用して模様を印刷する従来の染料アナログ捺染方式では、生地1キロ当たり153ℓの水を消費する。一方でFOREARTHは独自に開発した顔料インクを使用することで、0.02ℓまで水の使用を抑えることを可能にした。(京セラ調べ 2022年)

ファッション業界では、布に色模様を染め出す捺染時の、水の大量使用や水質汚染の解決が長年の課題となっている。こうした環境問題を背景に、FOREARTHの「水の使用を限りなくゼロにする」新たな捺染技術に大きな期待が寄せられている。

京セラが開発した、ほぼ水を使わないインクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」

京セラが開発した、ほぼ水を使わないインクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」。2023年秋発売予定。


この京セラの「FOREARTH」の世界初のお披露目の場となったのが、伊ミラノで開催された国際繊維機械展「ITMA2023」(6月8日~6月14日(現地時間))だ。世界最大級であるこの展示会には、今年は繊維、紡績や印刷技術等1,709社が一堂に会し、世界143カ国から11万人以上が訪れた。

京セラ、ITMA2023で新製品「FOREARTH」を初出展!/京セラ株式会社


同展示会では146社のプリンターが展示されたが、なかでも「FOREARTH」は一際存在感を示した。黒いスタイリッシュな外観のプリンターが、1分間に幅1.8m×長さ2.3mの速さで滑らかに、複雑なデザインを色鮮やかに印刷していく――。この様子に、多くの来場者が足を止めて見入った。また、周辺には「FOREARTH」で印刷された綿・シルク・ポリエステル・ナイロン・混紡等多種多様な素材の布が展示され、その手触りの柔らかさを高く評価する来場者の声が聞こえた。

「節水を最大限まで可能にして、シルクのようなデリケートな生地にもこんなに触り心地よく印刷ができる。これは、衣類印刷の未来だと思います。」――感動して、こう語るのは環境に配慮したファッションの創作で注目されるイタリア人若手デザイナーFlora Rabitti氏だ。「環境を守り、制限なく創作ができるので、ファッションの可能性が無限に広がります」と、続ける。

Flora Rabitti氏

FOREARTHで印刷した布の手触りを実感するFlora Rabitti氏。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中