副店長は「AIのクラゲ」...IT企業が開いた「町の小さな書店」が話題に その「納得の理由」とは
──数あるスモールビジネスの中から、なぜ書店を選ばれたのでしょうか。
理由はいくつかありますが、freeeはソフトウェアを扱う無形産業で、かつ上場して従業員数も1000人くらいいます。それに対して独立系書店はモノを扱う仕事で、従業員数もひとりとかふたりとかで、今のfreeeの業態と一番ギャップがあるから学びがありそうだというのがひとつ。
もうひとつは、独立系書店だとfreee本体とシナジーがあると思ったからです。昨今大型書店がどんどん閉じていっている一方で、独自の世界観をもった独立系書店は増えつつあります。実際、アメリカでは数字が出ているし、僕たちも都内でリサーチしていくなかで、そういったお店が増えていると肌で感じました。
もともとfreee出版という出版レーベルがありましたし、自分たちの世界観をビジネスを通して表現していく部分も重なりがありました。
あとは、僕ともうひとりの代表の岡田悠が、本屋が好きだからというのも大きかったですね。
すべてを「透明」に開示すること
──「透明書店」の名称には、「財務状況や事業のプロセスも開示していく」という意味を含んでいるそうですが、すべてを「透明にする」ことの意義やその影響についてお聞かせください。
何かを始めようとするときには色々なハードルがありますが、その大きなひとつがお金まわりだと思います。そこを透明に見せていくことで、「最初こんなにお金がかかるんだ」とか「ここは、こういうことがあるんだな」とかが見えて、新しい一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
透明書店のすべての営みをコンテンツとして発信することに、価値があると思っています。これからスモールビジネスを始めたい人や、あるいはすでに始めているけど「もっと自由にできないか」「もっと効率化できないか」と悩んでいる人に対して、僕たちのチャレンジや気づきやお金の流れをシェアしていくことで、スモールビジネスをより豊かにできるのではないかと期待しています。