社員の「尖り」が見える...不動産業界のパイオニアが、社員の読む本を「全額負担」して得たもの
株式会社リブラン代表取締役会長の鈴木雄二氏(flier提供)
<これからの時代は「知」をいかに蓄積するかの勝負だとする株式会社リブラン代表取締役会長の鈴木雄二氏にインタビュー>
社員が読みたい本の購入費用を会社が全額負担する。しかも、どんな分野の本でもいい――。そんな独自の制度「知の貯金箱」を16年ほど続けているのが、不動産デベロッパーである株式会社リブランです。同社は、自然の力を利用して心地よさを感じられるマンションの「エコヴィレッジ」や、24時間楽器の演奏が可能な防音機能つきマンション「ミュージション」などを展開しています。
代表取締役会長の鈴木雄二さんが「知の貯金箱」に込めた想いとは? 「本の知」にふれることで社員や事業にどんな影響が生まれるのか、フライヤー代表・大賀康史とともに語りつくします。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
大手不動産が提供できない価値の糸口は、「社会問題の解決」にあった
大賀康史(以下、大賀) まずはリブランの事業について簡単に紹介していただけますか。
鈴木雄二さん(以下、鈴木) リブランは今年2023年で創業55年を迎える不動産デベロッパーです。私は24歳のときにリブランに入社し、分譲マンション事業からのスタートでした。
リブランの創業者である父は、常々こんなふうに語っていました。「社会問題を掘り下げていくと住宅に起因するケースが多い。住宅を変えることで社会問題を解決できるような仕事をしないといけない」。そんな父の影響で、私も社会問題を勉強するようになりました。
また、事業としての側面からも、不動産の決め手といわれる3P、いわばPrice(価格)・Plan(間取り)・Place(立地)だけで競合と戦っていては疲弊することが明らかでした。大手が手がけていないリブランならではの価値を提供するにはどうすべきか。そこで、「住まい」の領域でお客様の願いをかなえるような価値を創造することで、事業の活路を見出せると同時に、社会課題の解決にも寄与できると考えました。
リブランが手がける主力商品は2つあります。1つは、ワンストップリノベーション事業の「てまひま不動産」。リブランは、太陽の光や風、緑などの自然の力で室内を快適にする「エコミックスデザイン」という設計思想に基づいた住まいを提案しています。都市部でもエアコンに頼らず、リラックスできる空間をつくり出しています。
もう1つは、24時間楽器の演奏が可能な防音機能つきマンションの「ミュージション」です。発想の原点になったのは、騒音問題に対して、「そもそも騒音が出ない家をつくれないか」と考えたことです。防音性と遮音性を追求することで、音楽を思い切り楽しめる環境を実現し、今では当社の収益の柱となっています。
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