インクルージョンを経営戦略に── 多様性に関するP&Gの取り組み
AT THE CORE IS INCLUSION
19年、ベセラは自ら率先して経営陣がLGBTQ+、障害者、ジェンダー平等それぞれのテーマを受け持つプロジェクトチームをつくり、20年には「平等な機会とインクルーシブな世界の実現(E&I)」を経営戦略の中核に位置付けた。
さらにボトムアップでも取り組みを広げようと、社内にLGBTQ+、障害者、ジェンダー平等の3つのテーマの「アライ」コミュニティーを発足させた。アライとは仲間、味方などの意味で必ずしも本人はLGBTQ+や障害者には該当しないが、当事者の立場を理解する支援者のことだ。アライになった社員は300人ほどで、啓発イベントやプロジェクトも活発に行われるようになった。E&Iを本業と並走させる思い切った方針がうまく回り始めている。
世界70カ国で事業所を展開するP&Gは消費者も多様だ。多様な人材を受け入れ、活用する姿勢は消費者ニーズに応える力を養うことにもつながり、企業価値に直結する。多様性を生産性と結び付けることには危うさも伴うが、P&Gジャパンが人材を最も重視し、インクルーシブな社会を目指すというビジョンは揺るがない。
16年からはE&Iの社内研修を無償で社外に提供するようになり、これまでに730を超える企業や団体に向けて実施してきた。蓄積したノウハウを無償で公開する理由は、多様性やインクルージョンを広く社会で実現したいというSDGs的な動機があるからだろう。
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