最新記事
SDGs

インクルージョンを経営戦略に── 多様性に関するP&Gの取り組み

AT THE CORE IS INCLUSION

2023年3月17日(金)14時30分
岩井光子(ライター)

19年、ベセラは自ら率先して経営陣がLGBTQ+、障害者、ジェンダー平等それぞれのテーマを受け持つプロジェクトチームをつくり、20年には「平等な機会とインクルーシブな世界の実現(E&I)」を経営戦略の中核に位置付けた。

さらにボトムアップでも取り組みを広げようと、社内にLGBTQ+、障害者、ジェンダー平等の3つのテーマの「アライ」コミュニティーを発足させた。アライとは仲間、味方などの意味で必ずしも本人はLGBTQ+や障害者には該当しないが、当事者の立場を理解する支援者のことだ。アライになった社員は300人ほどで、啓発イベントやプロジェクトも活発に行われるようになった。E&Iを本業と並走させる思い切った方針がうまく回り始めている。

230321p28_P&G_02Bv2.jpg

P&Gジャパンの人事部などが講師を務める外部向けのE&Iのオンライン研修。無意識の偏見に気付かせるプログラムなどが好評だ COURTESY P&G

世界70カ国で事業所を展開するP&Gは消費者も多様だ。多様な人材を受け入れ、活用する姿勢は消費者ニーズに応える力を養うことにもつながり、企業価値に直結する。多様性を生産性と結び付けることには危うさも伴うが、P&Gジャパンが人材を最も重視し、インクルーシブな社会を目指すというビジョンは揺るがない。

16年からはE&Iの社内研修を無償で社外に提供するようになり、これまでに730を超える企業や団体に向けて実施してきた。蓄積したノウハウを無償で公開する理由は、多様性やインクルージョンを広く社会で実現したいというSDGs的な動機があるからだろう。

20241210issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月10日号(12月3日発売)は「サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦」特集。地域から地球を救う11のチャレンジとJO1のメンバーが語る「環境のためにできること」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国成長率、5%未満でも容認できる 質を重視=人民

ビジネス

ノルウェーSWF、イスラエル通信企業株を売却 倫理

ワールド

アングル:ルーマニア大統領選、親ロ極右候補躍進でT

ビジネス

戒厳令騒動で「コリアディスカウント」一段と、韓国投
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 5
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 7
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 8
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 9
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求…
  • 10
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 7
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中