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企業の未来も、地球の未来も、投資で支える 「投資による応援」が繋ぐ脱炭素社会への道筋

──投資の好循環を生み出す野村アセットマネジメントの取り組み

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2023年3月14日(火)11時00分
酒井理恵
山我哲平

写真:遠藤宏

<個人の資産形成だけでなく、企業の成長を支え、社会や地球環境を変える力を持つ投資──日本最大級の資産運用会社として、野村アセットマネジメントが脱炭素のためにできることとは>

世界中で脱炭素の取り組みが加速するなか、個人にもできることは少なくない。その1つが、脱炭素対策に積極的な企業を「投資」で後押しすることだ。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した投資の市場が急速に拡大する今、銀行や資産運用会社など金融機関に求められる役割も変化しつつある。

金融機関は、顧客から預かった資金をもとに貸出や証券の購入を行い、市場を活性化させる「仲介」の役割を果たしてきた。そこで重要となるのは、企業の収益性や安全性、成長性を評価する財務分析の能力だった。だが、ESG投資においては「より高度で専門的な分析・評価手法が求められる」と、野村アセットマネジメントの山我哲平ネットゼロ戦略室長は言う。

資産運用会社は、機関投資家として企業に効率的な資金供給を行うために、開示情報をもとに適正な企業評価を行う必要がある。そのなかで、「統合報告書やサステナビリティレポートといった非財務情報も分析する必要がある。投資先企業との対話を繰り返し、課題解決へのアプローチや情報開示の働きかけを行う」と、山我は説明する。

同社ネットゼロ戦略室は、世界的な脱炭素の機運を受けて22年12月に新設された部署。温室効果ガス(GHG)の排出量から吸収量を差し引いた合計をゼロにする「ネットゼロ」の達成に向けた取り組みを推進する。主なミッションの1つは自分たちの業務上のネットゼロ、もう1つは投資先の企業が排出するGHGを実質ゼロにする「ポートフォリオのネットゼロ」だ。30年までに同社拠点におけるネットゼロを目指すと同時に、ポートフォリオのネットゼロも50年までの達成を目標としている。

ここで問題となるのは、「投資先企業にGHG削減を働きかけるうえで、実は排出量だけに注目すると、それが脱炭素に対する取り組みの成果なのか、単に生産量が減少しただけなのか、判断が難しい」ことだと、山我は言う。

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期間は2009年~2018年、年次 上記は自国以外にも出願した特許を集計しています。
出典:アスタミューゼのデータを基に野村アセットマネジメント作成

そこで同社は独自の炭素価格によりGHG排出量を財務情報に組み込んで企業のリスク評価を行うだけでなく、企業の「削減貢献量」を企業の機会評価に使用している。これは、企業の技術や製品が使われたことにより社会全体で抑制できたと推定されるGHG排出量のこと。「排出量の多さを悪者にするのではなく、企業による削減貢献の経済的な価値に着目し、適正な企業評価につなげる」という。

脱炭素に関する企業の情報開示は国際的に規制が整備されつつあるが、削減貢献量についてはまだ分析・評価手法が確立されてない。そうしたなかで同社は、いち早く削減貢献量に着目。課題を整理し、適切な指標を用いて解決策を提示することで、投資先企業との強固な信頼関係を構築している。

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