「やりたい仕事」はライトに考えていい...目標と適職が、自然と分かってくる方法
成長実感をもてないのは、「振り返り」が足りないから
──『適職の地図』は就活、転職、副業、起業など、いろいろな選択肢で活かせますが、「いまの職場で得られる強み」に目を向けるきっかけも与えてくれます。「入社して2、3年が経ち仕事に慣れてきたが、成長実感をもちづらい」と悩む若手社員には、土谷さんならどんなアドバイスをされますか。
成長実感をもてないときは、過去の振り返りをしていないことが多いんです。たとえば社会人3年目なら、3年間でできるようになったこと、積み上げてきたものが必ずあります。ビジネスメールを送れるようになったとか、お客様との会話がスムーズにできるとか。
1年前の悩みを思い返すと「笑える失敗」ってありませんか。それって、今はその悩みを乗り越えるためのスキルがついている、つまり前に進めているということですよね。
──たしかに、それなら小さくても成長した経験が思い浮かびます。
会社にいると目先の目標に追われます。来期には新たな目標が掲げられ、達成したことがあってもリセットされてしまう。そのため、目標と現状との間に生まれたギャップに目が行きがちです。そんなときこそ、まずはこれまで乗り越えてきたことや達成したことを意識的に振り返ってみてください。たったそれだけでも成長実感が得られるはずです。
チーム目標を達成したいなら、部下に「理想の未来」を聞こう
──「適職クエスト」はチームのメンバーの強みを引き出すことにも活かせそうです。やりたいことによって何が強みになるかは変わりますが、「強みで成果を出すチーム」をつくるためには、どうするとよいでしょうか。
チームで達成すべき目標があるけれど、個人ではあまり本気になれないときってありますよね。それは、理想の未来がメンバーそれぞれでも、まずは今のチームで成果を出すことのメリットを腹落ちできていないからです。
私が会社員で営業部のマネージャーをしていたときも、カフェや帰り道などで、部下のメンバーの理想の未来を聞くようにしていました。会社の枠をとっぱらってどんな生活をしたいのかと。
たとえば「将来コピーライターになりたい」というメンバーに対しては、そのためにどんなスキルが必要になるかを尋ねてみる。すると、「人がモノを買いたくなるようなワーディングのスキルを身につけたい」という答えが。「じゃあ商談をたくさんこなして、どの言葉が効くのか試してみよう!」と声をかけると、メンバーは商談に積極的になり、自然とチームの成績も上がっていきます。
こんなふうに、個人の理想とチームの目標につながりが見いだせたら、あとは自発的に動いてくれる。上司や先輩の立場にある人は、部下や後輩に、理想の未来を尋ねてみるといいのではないでしょうか。「目の前の仕事の先に自分の理想の未来がある」と思えて初めて、前向きに自分の特徴を「強み」に変えて取り組めるようになると思います。