「やりたい仕事」はライトに考えていい...目標と適職が、自然と分かってくる方法
──「適職クエスト」という7日間のゲームを通じて、やりたいこと、強み、適職を手にするためのプランが具体化されていきワクワクしました。このメソッドで特に大事にされたポイントは何ですか。
心がけたことは2つあります。1つは、読んで終わりにならずとにかく「楽しい自己分析」ができることです。7日間で地図を完成させていくゲーム形式にしたのも、ワークをたっぷり盛り込んだのも、楽しみながら実践してほしかったから。やりたいことが見えても、それを実現するまでのプランづくりは大変です。やりたいことを明確にするところから、日々のアクションに落とし込むところまでスモールステップで進められるようにしました。
2つめは、強みを細分化して再定義し、読者に「自分にも強みがある」と体感してもらえるようにしたことです。とくに「後天性の強み」については、「営業目標150%達成」のように高く評価された実績や、取得が難しい資格をイメージするかもしれません。ですが、強みを「やりたいことの達成に有利にはたらく特徴」ととらえると、日々の業務で積みあがっていく経験も十分強みになると実感できるでしょう。
──土谷さんは、人見知りからトップセールスになり、いまは起業してお客様の強み発掘を支援されています。これまでを振り返って、土谷さんにとって一番「変化」の後押しになったものは何でしたか。
「本当の自己分析」で自分を正しく知ったことです。変化のきっかけは2つあり、1つは、売上ビリの営業社員だった頃のことです。当時プレゼンが上達せず悩んでいた私に対する同僚のささいな一言がきっかけで、「自分の強み」に気づく機会がありました。「君は喋るのはうまくないけど、人の話を聞くのはすごく上手だよね」という言葉でした。この一言をきっかけに、プレゼンの練習をするよりも、お客様の話をたくさん聞く営業スタイルに。みるみるうちに営業成績が伸びていきました。初めて社内で1位になったときの感動は今でも覚えています。
もう1つのきっかけは、27歳で会社員をやめて28歳で開業届を出したときでした。自分が成果を出しやすい条件を自問したら、一人でマイペースに働ける環境が性に合っていると気づきました。それならチームで進めていく会社組織にいるより、起業したほうがよいと決断できたんです。起業後はもちろん大変なこともありましたが、それでも今は、「人生でいちばん自分に合った働き方ができている」と日々実感しています。
このようなエピソードからも、自分の強みや価値観の自己理解があってこそ、自分で自分をもっと輝かせられるようになると確信しましたね。