最新記事

ビットコイン

仮想通貨、アフガンやガザ地区など紛争地域で人気拡大 暴落でも魅力あせず

2022年6月27日(月)10時24分

ビットコイン相場は暴落したが、Kozlovska氏は速やかに地元通貨に変換していたため、大きな損害を被らなかったという。「お金をビットコインのままにしていたら、悲惨なことになっていただろう」

ウクライナ政府は、侵攻を受けた2月以来、約1億ドル相当の資金を仮想通貨で調達したが、相場暴落によって価値が吹き飛んでしまった。

安い送金手段

パレスチナ自治区ガザでも仮想通貨は大活躍している。GAZAのソフトウエア開発者、イブラヒム・エルハウト氏によると、パレスチナ人は代表的な国際決済アプリから締め出され、地元銀行や仲介者に高い手数料を払わなければ外国との間で送金や送金の受け取りができない。

「ガザで決済資金を受け取るのは非常に難しい。世界の大半の地域から制限をかけられている」と語るエルハウト氏。外国の顧客から仮想通貨で支払いを受けることもあるという。

アフガンでは大半の国民が銀行口座を持っておらず、自国通貨は過去1年間で急落した。モバイルアプリ「ハサブペイ」の創業者、サンザール・カカール氏は、仮想通貨がより有効な送金手段だと説明する。

同アプリは仮想通貨による送金を可能にするもので、カカール氏はステーブルコイン版も試行中だ。「送金と資金の受け取りにステーブルコインを使うアフガン国民がどんどん増えている」という。

もっとも、昨年ビットコインを法定通貨にした中米エルサルバドルはシステムの不具合に見舞われてビットコインの採用が進まないほか、国が保有するビットコインの価値は相場暴落でほぼ半減した。

アフガンの動画ブロガー、ファーハン・ホタクさんも暴落で損失を被った。それでも仮想通貨への信頼は失っておらず、他の国民の間でも関心は高いままだと言う。

ホタクさんはしばしば仮想通貨についての動画をアップする。「もちろんフォロワーには常にリスクに注意するよう喚起している。ただ、リスクのことなら、われわれアフガン人は他のだれよりも良く知っているよ」

(Rina Chandran記者 Avi Asher -Schapiro記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ガザ軍事作戦拡大 国連診療所などへの攻

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中