仮想通貨、アフガンやガザ地区など紛争地域で人気拡大 暴落でも魅力あせず
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アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが政権を掌握した昨年8月、それまで手作りの工芸品を販売していたオンライン商取引の「アシール」はすぐさま、アフガン国民用の緊急支援物資を買うための寄付を暗号資産(仮想通貨)で受け付ける活動に軸足を移した。写真はビットコインのイメージ。2020年4月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)
アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが政権を掌握した昨年8月、それまで手作りの工芸品を販売していたオンライン商取引の「アシール」はすぐさま、アフガン国民用の緊急支援物資を買うための寄付を暗号資産(仮想通貨)で受け付ける活動に軸足を移した。
伝統的な銀行システムにアクセスできない人々を、仮想通貨を使って支えるこうした慈善事業は世界各地に広がっている。最近の仮想通貨相場の暴落も、この流れに水を差してはいない。
アシールの技術責任者、モハンマド・ナシール氏は、タリバンに対する国際的な制裁によって「われわれは現金決裁ができない」と語る。
アシールは仮想通貨と併せて法定通貨でも寄付を受け付け、それを仮想通貨に換えて食料や応急処置用品を買っている。アフガン東部で22日に起きた地震でも、被災者向けの寄付集めに乗り出した。この地震では約1000人が亡くなっている。
ナシールさんによると、アシールは相場変動の影響を抑えるため、仮想通貨の中でも主要法定通貨に連動するステーブルコインを使っている。もっとも、ステーブルコインの価格も大幅下落した。
仮想通貨は、代表的なビットコインが年初から約60%するなど軒並み急落しているが、制裁その他の混乱で伝統的な金融システムが使えない場所では魅力を保っている。
危機時の命綱
ビットコインその他の仮想通貨は、政府や中央銀行など中央の金融当局に管理されない自由な通貨として設計された。仲介なしでユーザー同士がオンライン送金することが可能だ。
匿名性が高いため、犯罪者や過激派集団、制裁を受けている政府に隠れ家を提供する一方、危機に見舞われた一般市民を支えていると擁護する声もある。
ロシアがウクライナに侵攻した際、活動家のLyudmyla Kozlovska氏は、戦争地帯で動けなくなった人々への支援物資購入をビットコインに頼った。
Kozlovska氏はブリュッセル在住のウクライナ人で、人権組織オープン・ダイアログ・ファウンデーションの創設者。「侵攻当初、銀行システムは機能していなかった」ため、「ビットコインが無ければ、自宅を守る民間人に届けた防弾チョッキの最初の100着を買えなかっただろう」と振り返った。