理解を求めるか、興味をもたせるか、「説明」は状況によって「型」を使い分けよ
オンライン商談・プレゼンが上手くいくための3つのポイント
井手 説明にはいろいろなシチュエーションがありますが、最近ではオンライン商談が上手くいかないというお悩みが多いように思います。
犬塚 あらゆる業種・業態の企業からまさにそうした相談を多く受けているところですね。私自身は東京大学大学院・情報学環・学際情報学府で認知科学の研究をしていましたが、オンラインだと相手との信頼関係が非常に築きにくいことが研究からわかっています。
井手 オンラインで商談をした相手ってどうしても顔と名前が覚えられないんですよね。まさにそこなのかなと思います。
犬塚 リアルの場であれば、全身の動きや身振り手振りなどに加え、場所の紐づきもあるので記憶に残りやすい。しかし、オンラインだと入ってくる情報が限定的になってしまいます。ZOOMの打ち合わせでは胸から上の情報しか入ってこない。おのずと相手の情報が不足してしまうわけです。
井手 今回はそんな課題のあるオンライン商談・プレゼンを成功させるための3つのポイントを紹介していただきます。まず1つ目をお願いします。
犬塚 1つは冒頭で「自分をわかりやすく説明すること」です。自分の情報というのは自分が思っている以上に相手には伝わらないので、信頼関係の形成を目的として、自分説明をすることが重要なスキルになってきます。
具体的には次の4つのステップになります。まず現在自分がやっていることを伝え、その後に今までの経歴を話し、さらにこれからやっていきたいことを話します。そして最後に、「今後はあなたとこういうことをしていきたい」という相手に対する貢献を伝えます。このプロセスを踏むことで、自己紹介ができるだけでなく、相手に自分が関与しているんだということも話の流れで伝わります。
リアルの場だと名刺交換や手土産を渡すという物理的な交換行為で関係性が生まれていたのですが、オンライン上ではそれが生まれにくい。だから自分説明でそれを補うことが非常に重要になります。詳しくは本書の第13章の「『自分説明』の型」で解説しています。
井手 打ち合わせの前後のエレベータートークのようなものもオンラインではありませんから、納得です。では2つ目のポイントをお願いします。