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若者の「食べログ離れ」が止まらない 信頼を失った口コミサイト、ユーザーはインスタやグーグルマップへ

2022年2月12日(土)11時55分
高橋暁子(成蹊大学客員教授) *PRESIDENT Onlineからの転載

結論から言うと、点数やランキングはおそらく操作されていないとみられる。運営会社のカカクコムは上場しており、コンプライアンスやガバナンスの観点から、わざわざ操作するのは考えにくい。しかし、このような声はあまりに多く上がっており、「営業電話」がまったく存在しないとも考えにくい。

食べログの営業をかたる業者や、売り上げを上げたい代理店などがこのような電話をかけた可能性はあるだろう。しかし、カカクコム側の見解を見てもこの点はいつも真実が明らかにならないままであり、疑念が完全に払拭されない原因ともなっている。

口コミサイトなのに対象から広告料を取るビジネス

食べログの店舗会員向けページには、有料の食べログPRサービスに加入すると、食べログの検索結果(標準検索)で優先的に表示されること、アクセスと予約数が多いゴールデンタイムの検索結果(標準検索)で上位表示されることが明記されている。

検索結果で優先的に表示されるメリットをPRする食べログの飲食店向けページ

検索結果で優先的に表示されるメリットをPRする食べログの飲食店向けページ

売り上げに直結するこのような操作は楽天市場やAmazonなどでも行われていることだが、問題は食べログが口コミサイトという点だ。口コミサイトが対象から広告料を取れば、口コミ自体の信頼性が下がるのは自明の理だ。

先ほど紹介したTableCheckの調査結果では、飲食店がグルメサイトと有料契約するメリットとして「認知度向上による新規顧客の獲得」「店舗情報の掲載」「予約受付」が挙がったが、逆に契約しない理由は「月額の広告掲載料が高い」「掲載情報が信用できない」が上位を占めた。

勝手に掲載・評価され、削除できない不条理

さらに食べログでは、店舗側が拒否していても店舗情報は掲載されるようになっている。不快な口コミを書き込まれても、基本的には削除してもらえない。無理やり掲載され、勝手に評価・ランキングされ、しかも有料サービスに加入しないと評価が下げられるうわさまであることで、飲食店側が不審を抱いても仕方がないだろう。

他方で、食べログ側は規約やガイドラインにのっとり、一定の条件を満たしていない口コミや表現に問題のある口コミは投稿者に修正を依頼するほか、内容や表現に問題が多い場合は削除などを行っていることは認めている。こうした対応の一貫性のなさが、一般ユーザーからの信頼性の低下にもつながっている。

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