最新記事

税制

国際法人税最低税率15%で合意 2023年導入目指す

2021年10月9日(土)08時26分
アイルランド財務相

経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む世界136カ国・地域は8日、法人税の国際的な最低税率を15%とすることで合意した。写真はアイルランド財務相。2月撮影(2021年 ロイター/Yves Herman)

経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む世界136カ国・地域は8日、法人税の国際的な最低税率を15%とすることで合意した。

協議に参加していた140カ国・地域のうち、これまで反対していた。アイルランド、エストニア、ハンガリーが合意。ケニア、ナイジェリア、パキスタン、スリランカが現時点では棄権した。

バイデン米大統領は声明で「歴史上初めて国際的な最低税率が導入されることで、米国の労働者と納税者、および世界の国々にとってようやく公平な競争環境が整う」と表明。

ドイツのショルツ財務相はロイターに宛てた電子メールで「より公正な税制に向けた重要な一歩となる」としたほか、英国のスナク財務相は「より公平な税制への道が開かれた。世界的な大企業はどこで事業を展開しようと公平に税金を支払うことになる」と述べた。

OECDによると、今回の合意を受け、10月13日にワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相会合での承認を目指し、その後、月内にローマで開かれるG20首脳会議での最終合意を目指す。合意が得られれば、各国・地域は2022年に準備を進め、23年に導入したい考え。

ただ、一部の国からは早くも懸念する声が出ている。

スイス財務省は声明で、経済規模の小さな国々の国益を配慮するよう要求。23年の導入は不可能だとした。

また、ポーランドは「国際的な税制はポーランドに投資しポーランド国内で実際に経済活動を行っている海外企業への増税につながるものであってはならない。国際的な税制プロジェクトに関するさらなる取り組みを開始することがわれわれの条件だった」とした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英、ロシアに全面停戦求める 黒海・エネルギー施設攻

ワールド

トランプ氏、ウォルツ補佐官を擁護 フーシ派攻撃の情

ビジネス

アップル、今年の世界開発者会議は6月9―13日に開

ビジネス

米国、輸出制限リストに70団体を追加 中国・イラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    【クイズ】トランプ大統領の出身大学は?
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中