DXには日本の生き残りがかかっている──確実に訪れる変化への対応に必要なもの
「世界の知性」が書く本から未来のヒントを得る
── 鉢嶺さんは20年間毎年100冊以上の本を読まれるほどの読書家で、『役員になれる人の「読書力」鍛え方の流儀』も執筆されています。これまで読まれた本のなかで、先を見通す力や戦略眼を養うのに役立った本は何でしたか。
「2050年の世界はこうなる」といった未来予測の本は、できるだけ数多く読むようにしています。
たとえば、『2052―今後40年のグローバル予測』『2050年の世界 英『エコノミスト誌』は予測する』などから、今後どんな世の中になっていくかをインプットしてきました。そうすれば、未来に対し当事者意識をもてるようになり、それを踏まえて自分たちはどう動くかをシミュレーションしやすくなります。
また、「世界の知性」と呼ばれる人たちの思考にはできるだけふれるようにしています。たとえば、歴史学者で、世界的ベストセラー『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏。それから、共有型経済の台頭を予測した、文明評論家のジェレミー・リフキン氏などです。
コスト(限界費用)が限りなくゼロに近づき、モノやサービスが無料化することで企業の利益は消失し、資本主義は衰退を免れない――。そんな未来図を描いた『限界費用ゼロ社会』も洞察に富んだ一冊でした。
サピエンス全史(上)
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
翻訳:柴田裕之
出版社:河出書房新社
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ホモ・デウス(上)
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
翻訳:柴田裕之
出版社:河出書房新社
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限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭
著者:ジェレミー・リフキン
翻訳:柴田裕之
出版社:NHK出版
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── 最後に、鉢嶺さんの今後のビジョンを教えてください。
2030年までに日本の DXを成功させることです。これが私たちの会社としての最大のミッションでもあり、社会の要請でもあります。このミッションを成し遂げることが、私がこの世に生を受けた理由であり、これを成し遂げないと死ねないと思っているんです。
未来に起こる変化は確実なものになりつつあります。その変化に対して前向きでありたいですし、そんな企業を一社でも多く増やせたらと思います。
鉢嶺登(はちみね のぼる)
デジタルホールディングス代表取締役会長。早稲田大学商学部を卒業後、森ビルに入社。その後、1994年にオプト(現:デジタルホールディングス)を設立した。2015年に持ち株会社体制へ移行し、代表取締役社長グループCEO(最高経営責任者)に就任。20年4月より現職。20年7月、デジタルホールディングスに商号変更。DX支援会社の株式会社デジタルシフトの代表取締役会長を兼務。著書は『ビジネスマンは35歳で一度死ぬ』『GAFAに克つデジタルシフト経営者のためのデジタル人材革命』など。
flier編集部
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