ウッドショックの激震、住宅木材価格は「平時の4倍」──中小工務店、ハウスメーカーは苦境 購入者への影響は?
だが、あるハウスメーカーの関係者は「『影響は限定的』と言っておかないと、建材業者から足元を見られて価格をつり上げられる。逆に『影響なし』と強調すると、『余裕があるなら木材を融通しない』と言われかねない。本当に難しい交渉になっている」と本音を漏らす。
では、住宅を購入する側への影響はどれほどなのか。現在、高騰しているのは梁や柱に使う集成材で、国内では梁は9割、柱は6割を輸入材に頼っている。だが、そうした構造材は家全体の原価の3~4%にすぎない。あるハウスメーカー幹部は、「仮に集成材などの調達価格が1.5倍になっても、1棟あたりの販売価格の上昇は20万円程度」と話す。
例えば、都心部で狭小戸建て住宅を手掛けるオープンハウスが5月に公表した資料では、同社の平均的な販売価格4400万円の住宅のうち、「(ウッドショックによる影響額は)金額にして36万円」と説明している。
一方、アパート建築最大手の大東建託では、カナダ産のランバー材が高騰し、2022年3月期はコストが約60億円上昇。完成工事の利益率を1.5ポイント押し下げる要因になるという。同社の小林克満社長は「ウッドショックを避けることはできない。木材価格の状況、為替の状況に鑑みて早め早めに対応する」と強調した。
住宅設備最大手のLIXILはウッドショックによる新築需要の減少を懸念するが、瀬戸欣哉CEOは「(新築の供給が減っても)中古住宅を買う選択肢は当然、考えられる。中古住宅をリフォームすることになると、水まわりだけではなく、外壁なども重要になってくる」と述べ、リフォーム需要に期待を寄せる。
前出のIG証券・山口氏は「1990年代、あるいは2008年のリーマンショック直前に起きたウッドショックの際は1年半から2年ほど続いた。今回のアメリカ市場での木材高騰はまもなく1年になるが、あと数カ月は高値圏が続いてもおかしくない」と予想する。
プレカットメーカーからは「7月から需給は改善されていくが、価格は年内は高値が続きそうだ」との見方も出ている。2022年の春ごろまで、国内でウッドショックの余波が続くことになりそうだ。