ウッドショックの激震、住宅木材価格は「平時の4倍」──中小工務店、ハウスメーカーは苦境 購入者への影響は?
「ウッドショックの影響で請け負った住宅建築価格の見積もりも、引き渡しのメドも立たず、そもそも工事の契約ができていない。工事にたどり着いても1平方メートルあたり最低でも1万円程度のコスト増をかぶっている工務店もある。そのような工務店はコロナ禍で借り入れもかさみ、新たな借金も難しい」(坂口統括部長)。深刻な状況が長引けば、数多くの中小工務店が資金繰りに窮するケースも出てきそうだ。
大手ハウスメーカーも6月に入って動き始めた。大手メーカーの多くはこれまで、木材の発注を3カ月ごとにまとめて行っていた。ところが、「確実に確保できていると断言できるのは8月仕入れ分まで」(大手ハウスメーカー幹部)で、6月に発注する予定の9~11月分の仕入れは様相が変わってきている。
各社は表向き、「調達には問題ない」と口をそろえ、最大手の大和ハウス工業は「木材の使用量が多い『xevo GranWood(ジーヴォグランウッド)』の一部で、6月見積物件からやむを得ず価格改定をしているが、それ以外はいまのところ影響はない」(広報)。
積水ハウスも木造住宅「シャーウッド」の値上げに乗り出している。「調達について現場では厳しい交渉もあると聞くが、普段から仕入れ先との関係を築いていること、仕入れルートを広げていることもあり、問題は今のところ出ていない」(広報)と言う。両社はそもそも鉄骨系の住宅がメインで木材を使った住宅は少なく、影響は限定的という。
一方、木造住宅がほぼ100%の住友林業では4月の決算発表回でも緊迫感が漂っていた。説明会では「足元の木材価格は期初想定を上回る価格まで上昇しており、今後の懸念材料。(木材価格の上昇分は)価格改定で対応する」などとした。
ただ、「木材製品の仕入れ先との長年の取引で信頼関係があり、一定量を安定的に購買している。主要な木材製品の調達については当面メドがついている」(広報)とする。
住宅ブームは落ち着くのか
同じく木材の使用量が多い分譲戸建てを主力とするビルダーのうち、北関東を地盤とするケイアイスター不動産は12月末までの住宅販売計画分の木材確保は完了しているとしたうえで、「来年1月以降のことは何とも言えないが、ワクチン接種が広がる中で、国内外とも巣ごもり需要による住宅ブームは落ち着いてくる」(同社幹部)と説明する。
分譲住宅最大手の飯田グループホールディングスは「市場の動向を注意深く見守っている」(同社幹部)と静観の構えだ。