マイク・タイソンやJay-Zも...黒人起業家が大麻ビジネスに続々参入の深い訳
BLACK STARTUPS GO GREEN
NIKOLAY PANOMARENKO/ISTOCK
<合法化の拡大が新規参入のチャンスに黒人起業家が大麻ビジネスに新たな風を起こし始めた>
活況に湧く大麻ビジネスの世界で、黒人が経営する企業が次々に誕生している。この分野でも多様性の欠如は依然として深刻な問題だが、黒人起業家たちは、有色人種が不当に多く罰せられてきたアメリカの「麻薬戦争」に新たな1章を書き加えようとしている。
アメリカでは現在36州(係争中のミシシッピ州を含む)で、医師が処方する医療用大麻の使用が合法とされている。嗜好目的の使用は、ニューヨーク州で今年3月末に解禁する法案が可決されるなど、15州とコロンビア特別区(首都ワシントン)、北マリアナ諸島、グアムで合法とされている。さらに16州と米領バージン諸島で、大麻の少量の所持・使用が非犯罪化されており、逮捕されずに罰金刑のみとなる。
ただし大麻を取り締まる法律を緩和する州がさらに増えても、引き続き残る薬物規制の矢面に立たされているのは今なお有色人種だ。米自由人権協会(ACLU)によると、アメリカ国内での2018年の大麻の使用率は黒人と白人で同程度だったにもかかわらず、大麻所持で逮捕される確率は黒人が白人より3.6倍高くなっている。
「麻薬戦争で最も大きな打撃を受けて破滅に追いやられたのは黒人コミュニティーで、その次がブラウン(褐色)コミュニティーだ」と、非営利組織サクセス・センターズのアンジェラ・ホワイトは言う。
パンデミックの中でも大きな成長
サンフランシスコのベイエリアを拠点とするサクセス・センターズは、社会で疎外されているコミュニティーに属する人々が就業のためのリソースを見つけてスキルを学ぶ手助けをし、起業なども支援している。調剤薬局で働いた経験がある黒人女性のホワイトは、「産業公正プログラム」の責任者として、特に大麻業界への就職をサポートしている。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で、米経済の大半の分野が苦しんだこの1年、大麻関連のビジネスは貴重な明るい話題を提供してきた。
コンサルティング会社ホイットニー・エコノミクスと大麻メディアのリーフリーが作成した年次報告書によると、20年の大麻関連のフルタイム雇用は7万7300人増えて計32万1000人。伸び率は前年比のほぼ倍だ。マリフアナ・ビジネス・デイリーが発表しているリポート「ファクトブック」の最新版によると、大麻の経済効果は22年までに最大770億ドルに達する見込みだ。