ガンジス川に沈んだ廃プラ回収事業 年間目標450トンに対し成果1トンで幕切れ
AEPWはシンガポールに拠点を置き、スタッフは約50人。他にも進行中のプロジェクトはあるが、いずれも規模が小さくコミュニティーレベルの取り組みだったり、まだ成果が出ていなかったりする。リー氏は「プロジェクトは活動が最大限になったときに最大限の成果が実現するという点を心に留めることが重要だ」とした。
リニュー・オーシャンズのウェブサイトでの公表資料によると、ガンジス川からの廃プラ回収目標は2019年が45トン、20年が450トン。AEPWもリニュー・オーシャンズも目標の達成状況について情報を一切明らかにしていない。このプロジェクトに関与した関係者4人がロイターの取材に明かしたところによると、プロジェクトの活動期間は半年に満たず、昨年3月の打ち切りまでにガンジス川から回収した廃プラは1トンに届かないという。
AEPWとリニュー・オーシャンズは同プロジェクトの廃プラ回収量についてコメントを拒否した。科学者らによると、ガンジス川に流れ込む廃プラは推計で年間50万トン余り。回収量に関する政府統計はない。
華々しい立ち上げ、派手なPR
2019年1月に開かれたAEPW立ち上げのイベントは、ナショナル・ジオグラフィックで生中継され、ダウのジム・フィッターリング最高経営責任者(CEO)が「これまでで最も優れたプロジェクトの1つだ」と賞賛した。
AEPWとリニュー・オーシャンズは、廃プラの回収・再利用のために最新技術を投入すると説明。廃プラを入れるとタクシー運賃や食料雑貨の支払いに使えるバウチャーが受け取れる「逆販売機」や、廃プラをディーゼル油に変える熱分解装置を導入すると説明した。
しかしこのプロジェクトに関与した関係者4人によると、バラナシ市に設置されたこうした装置の試作品はたびたび故障した。AEPWとリニュー・オーシャンズはこうした装置の作動状況についてコメント避けた。
AEPWはロイターの取材に対して、リニュー・オーシャンズはバナラシ市で試験プロジェクトを行っただけで運用を先に進めていない。リニュー・オーシャンズはコメントを避けた。