ガンジス川に沈んだ廃プラ回収事業 年間目標450トンに対し成果1トンで幕切れ
AEPWによると、リニュー・オーシャンズに同団体が投じた資金は2年間で500万ドル。このうち一部がAEPWに返還済みで、同プロジェクトが活動を解消すればさらに追加で返還される見通しだという。
エクソンとシェルはロイターの質問をAEPWに転送した。ダウとシェブロン・フィリップスはコメント要請に応じなかった。
ほど遠い目標達成
AEPWは、5年間に「世界中で危機的状況にある100カ所余りの都市で数百万トンの廃プラを転用する」との目標を掲げている。これまでにリニュー・オーシャンズなど十数件のプログラムを発表したが、この目標達成にはほど遠い。
AEPWとその提携企業の公表資料によると、AEPWが資金提供しているプロジェクトのうち、これまでいくらかでも廃プラを回収したのはリニュー・オーシャンズなど3件だけで、いずれも小規模。AEPWによると、ガーナのプロジェクトの廃プラ回収は300トン。ウェブサイトによると、フィリピンのプロジェクトはこれまでのリサイクルが21トンだ。
世界中の廃プラ汚染についてまとまった統計は存在しない。ただ、入手可能な資料を元にすると、これらのプロジェクトによる回収・再利用は世界中の廃プラのほんの一部にすぎず、海洋から数百万トン規模の廃プラを回収するというAEPW自体の目標にもなお遠く及ばない。
例えば国連と各国のデータによると、毎年インドネシアとインドでは合計300万トン以上の廃プラが生まれ、回収もリサイクルもされていない。
再利用より生産拡大に巨額資金
化学エンジニアのジャン・デル氏は「AEPWのプログラムは廃プラの量に対して規模があまりにも小さく、世界中で出ている大量の廃プラを実際に減らすために他でも導入できるものではない」と述べた。
ロイターの昨年10月の報道によると、プラスチック業界は廃プラの再利用や処理のための取り組みを打ち出しているが、再利用よりも生産拡大にはるかに巨額の資金を投入している。安価なプラスチック新製品が大量に出回り、再利用は採算が取れない状態だ。
シェブロン・フィリップスは昨年7月、リニュー・オーシャンズが3月には既に活動を停止していたにもかかわらず、同プロジェクトの作業員がガンジス川で廃プラを回収している動画を利用し、持続可能性への取り組みを宣伝するプロモーションビデオを作成した。
グリーンピースUSAのオーシャン・キャンペーン・ディレクター、ジョン・ホシーバー氏は「地球上で最も金持ちで、最も強力な企業が、小さなコミュニティーで小規模な廃プラ回収プロジェクトを行い、見栄えの良い写真を撮るチャンスを作っている」と指摘。「プラスチックの生産を縮小する以外に廃プラを減らす方法はない」と述べた。
シェブロン・フィリップスはコメント要請に応じなかった。
(Joe Brock記者、John Geddie記者、Saurabh Sharma記者)
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