パンデミックの今こそビジネスを始める好機──米著名起業家マーク・キューバンの提言
THE CONTINUING EDUCATION OF MARK CUBAN
■リッチはいいことずくめ
請求書のことで気をもまなくていい。先月の電気代がいくらだったか知らないんだ。子供たちが一体どれくらい使ってるやら。請求書を気にせずに済むようになったのが最大の変化だ。
億万長者で困ることなんて何もない。今と正反対の極貧生活も経験し、クレジットカードを止められたこともある──さっきも言ったが寝室3つのアパートに男7人で住んでいた。当時はすっからかんで、真夜中に値引きされるのを待って鶏肉を買っていたよ。子供たちのことで気をもむのは、ほかの親たちと同じだ。16歳の娘が車を運転するようになったら、車のドアが閉まるたびにびくびくした。それはカネでは変えられない。
■今こそチャンス
ビジネスを始めるなら今がチャンスだ。どこも営業再開で手探り状態だから、どんなビジネスでも通用するといっていい。大企業は守りに入っている。中企業も同じだ。小企業はとにかく適応しようと必死だ。ゼロから始める場合、例えばレストランなら、最初から社会的距離と冷暖房空調設備に対応し新型コロナ対策を考慮した店舗にできる。サービス業なら、みんな既にズームに慣れているから在宅勤務でも快適に働けて、オフィスを探さなくて済む。いろいろ有利だ。
抗議デモと暴動もかすかな希望を、進歩できるかもしれないという希望を感じさせる。白人エスタブリッシュメントも今度は耳を傾ける。だからこそ私は声を上げようとしてきた。マイノリティーのコミュニティーに関わり、彼らのイベントに足を運び、彼らが経営する会社や店を訪れた。略奪などの被害に遭った企業に救いの手を差し伸べている。だが特に今最も不利な状況にある人々とつながり助けようと努力している。
<本誌2020年8月25日号掲載>
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