パンデミックの今こそビジネスを始める好機──米著名起業家マーク・キューバンの提言
THE CONTINUING EDUCATION OF MARK CUBAN
■読ませる売り込みとは
経歴の部分は「インディアナ大学に進学、1年生でこれこれをやり、2年生のときはスキーで骨折したせいでこれこれができなかった」という書き方じゃ駄目だ。「自分にしか作れそうにないソフトウエアを製作、以下の問題が解決できます。オハイオ州シンシナティ在住。利用できるリソースは限られています。続きを読んで御意見をいただけますか」。これなら続きを読むよ。
■相手を思いやる
「MAGA(Make America Great Again)=アメリカを再び偉大にする」というロゴが入った赤い帽子とTシャツで、リベラルなニューヨークの街中を歩いたり、リベラル派のデモに参加したりしたら、どうなるだろう。さぞ不安になるんじゃないだろうか。こんな格好で店に入ったら、じろじろ見られるんじゃないか。帽子もTシャツも脱いではいけないとしたら、どこへ行っても何をしても他人の視線が気になるだろう。みんな帽子とTシャツしか見てないんじゃないか。毎日どんな気持ちがするだろう。
それでもアフリカ系アメリカ人など人種的・民族的少数派の人々が毎日どんな思いをしているかを考えたら、まだましだ。彼らの気持ちを代弁しようなんてつもりはない。ただ、われわれ白人はもう少し努力するべきだ、せめて理解しようとするべきだと言うとき、MAGAの帽子とTシャツ姿の自分を想像してみることは、彼らの置かれている状況や味わっているストレスが、私たちとは懸け離れていることを理解するきっかけになる。
■「平等」と「同じ」は違う
マーベリックスの球団内部のセクハラ問題で、考え方が一変した。平等に扱うというのは同じに扱うのとは違うと、痛いほど分かった──女性スタッフはなおさらそうだろう。私はずっと、男も女も白人も黒人も方程式みたいに考えていて、全く同じに扱うつもりだった。実際はそれぞれ力学が違い過ぎて同じに扱うなんて不可能だということに気付かなかった。
文字どおり平等に扱うなんて無理だ。相手がどんな人間で、どういう出自で、どんな壁にぶつかっているかを認識できなくてはいけない。そう気付いたら経営状態は大幅に改善した。ほかにもCEOのシンシア・マーシャルからいろいろ教わったが、まだ学んでいる最中だ。
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