最新記事

インタビュー

パンデミックの今こそビジネスを始める好機──米著名起業家マーク・キューバンの提言

THE CONTINUING EDUCATION OF MARK CUBAN

2020年8月19日(水)18時50分
ジョーダン・ハービンジャー(ジャーナリスト)

magf200819_MarkCuban4.jpg

ABCの投資番組では他の投資家と共に起業志願者のプレゼンを厳しく審査 ANDREW ECCLES-ABC/GETTY IMAGES

排除すべきものは何か

特許全般、それに許認可だ。ルイジアナ州だったか、他人の髪を洗うのに免許が必要で、200時間ものくだらない実地研修を受けなければならないところがあるが、まさにばかげている。

ダラス市では、会社を起こすにはまずインターネットにつないでいくつかの書類に記入して、ボタンを押し、クレジットカード情報を入力して99ドル払うだけでよかったはずだ。そんな感じにビジネスから厄介事を取り除かなければならない。くだらない許認可は、守られる必要のない人々を守るためにある。

起業したきっかけ

あまりに仕事熱心でやる気満々だったせいで、上司に疎まれてクビになった。当時は仕方なかったんだ。最初の3つは長くて9カ月......。それで自分で起業するしかないと気付いた。当時は寝室3部屋のアパートに男7人で住んでいて、大学を卒業した年の失業率は10%を超えていた。そんな状態が何年か続いて、簡単には仕事にありつけそうになかった。

起業家になるには

生まれながらの起業家もいる。私がそうで、生まれつき起業のこつが分かっていた。とにかく売って売って売りまくっていた。売ることができれば起業家になれる。会社をつくって、売るのが得意なものを売ればいい。だがそうじゃない場合は、ビジョンがあって、やり遂げるための努力も惜しまないなら、準備が大事だ。時間をかけて学ぶ必要があるが、大抵はやりたがらない。

つまり起業できる可能性は誰にでもある。それでも「自分はどんな会社を始めたいか」と考えているようでは、まだ早い。「何をしたらいいでしょうか」と誰かに尋ねたり、「自分はこの会社を始める準備ができているか」と自問したりするうちも、まだだ。「参入できて取引先さえ見つかれば、この件についてはこの会社やこの会社より詳しい」と思えるなら、準備OKだ。

中国をたたき出せ

中国で生産しても構わない。だが、中国で生産しなくても済むように、何としても彼らを負かすべきだ。(出演中の投資番組の起業志願者に)「中国生産を勧める気か」と視聴者から批判されるが、そうじゃない。これまで私が製品を製造するときはどれも、まずアメリカで製造しようとした。ただし今はやり方を変えて、国内製造をする米企業と協力するようにしている。ロボット関連のコストが下がり、ソフトウエアが向上しているからだ。

ロボットは人間に比べればまだ手先が不器用で、できないこともあるが、それでも中国企業をたたき出せるくらいにならなくては。現状ではアメリカで生産するだけでグローバルに渡り合うのが難しくなる。

【関連記事】日本人には分からない人種差別問題のマグニチュード
【関連記事】ユヴァル・ノア・ハラリ×オードリー・タン対談(1/3)──「ピンクのマスクはカッコいい」、誰もがルールづくりに参画できる社会の到来

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米フォード、通年利益見通しを引き下げ アルミ工場火

ビジネス

インテル、第3四半期利益が予想上回る 株価8%上昇

ビジネス

アップルがアプリ市場運営巡る集団訴訟で敗訴、英競争

ビジネス

米国株式市場=上昇、米中首脳会談をホワイトハウスが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 4
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中