パンデミックの今こそビジネスを始める好機──米著名起業家マーク・キューバンの提言
THE CONTINUING EDUCATION OF MARK CUBAN
■人工知能(AI)は政府を変える
私は2年くらい前から言っているのだが、AIによってわれわれは今にも増して政府を「サービス」として見ることができるようになる。テクノロジーとその行く先を理解している政治家がいれば、AIの進歩に伴いさまざまなリスクが出てくるということを認識できるだろう。
もっとも問題をクリアできれば、サービスとしてのAIは昔ながらの使えない役人たちに取って代わっていく可能性がある。政府の規模は小さくなる一方で効率的に仕事をこなすようになり、今より多くの資金を国民や国民が必要とするサービスに割けるようになるかもしれない。
■なぜ今が事業立ち上げの好機なのか
あなたが進化のスピードに取り残されたくないと思う新しいもの、つまりロボット工学やプレシジョン・メディシン(精密医療)、AI、統計学や数学は、何であれ常に研究に値する。だがカギとなるのは「学び方を学ぶ」ことだと私は思っている。なぜなら不変なのは「物事は変わる」ということだけだからだ。
パンデミック以前には、在宅勤務などわれわれの頭の片隅にもなかったし、「(テレビ会議アプリ)ズーム(Zoom)の音量を上げるにはどうしたらいいんだろう」などと考えたこともなかったはずだ。つまり、チャンスにつながる変化は常にある。そしてたぶん、今ほどビジネスを始める好機はないだろう。あらゆる物事がリセットされているからだ。
■学び続けることの大切さ
社会に大きな影響を与えそうな新技術が出てくるたび、私はそれを学びたくなる。AIはすごいことになると思ったから、機械学習に関する個別授業を受けている。YouTubeでニューラルネットワークの入門講座も見ているし、強化学習に関する論文も読んでいる。おかげで(AI関連の)企業投資を始められたし、本物とがらくたを見分けられるようになった。
ロボット工学についても掘り下げた勉強を始めたところだ。ソフトウエアの観点からはきちんと理解できているのだが、ハードウエアの側面はそうでもないからだ。
■メイド・イン・USA
製造業を海外から国内に回帰させる唯一の方法は、(途上国の)安価な労働コストや環境保護に対する無関心に打ち勝つことだ。それもロボット工学を用いてやらなければならないだろう。ただし混乱は避けられない。従来型の製造業の一部はたぶん、退場させられることになる。どんなタイプの雇用を創出できるか、それをどのように広げていけるかについて理解できれば、全体として多くの雇用を創出できるはずだ。
だがトランプ政権の方法論を採用し、1985年頃のアメリカの製造業を現代に再現し、国民を守るために関税を引き上げたりすれば、アメリカは火だるまになる。中国やドイツ、ロシア、日本などの国々がロボット工学でどんどん前進しているという観点が抜け落ちているからだ。それに中国は「どうやったらこのビジネスでアメリカをたたきのめせるか」を日々、考えている。それを理解し、投資し、主権国家として前進しなければ火だるまになる。
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