最新記事

インタビュー

パンデミックの今こそビジネスを始める好機──米著名起業家マーク・キューバンの提言

THE CONTINUING EDUCATION OF MARK CUBAN

2020年8月19日(水)18時50分
ジョーダン・ハービンジャー(ジャーナリスト)

magf200819_MarkCuban2.jpg

ロボットやAIが政府の規模と効率を変える TOMOHIRO OHSUMI/GETTY IMAGES

人工知能(AI)は政府を変える

私は2年くらい前から言っているのだが、AIによってわれわれは今にも増して政府を「サービス」として見ることができるようになる。テクノロジーとその行く先を理解している政治家がいれば、AIの進歩に伴いさまざまなリスクが出てくるということを認識できるだろう。

もっとも問題をクリアできれば、サービスとしてのAIは昔ながらの使えない役人たちに取って代わっていく可能性がある。政府の規模は小さくなる一方で効率的に仕事をこなすようになり、今より多くの資金を国民や国民が必要とするサービスに割けるようになるかもしれない。

なぜ今が事業立ち上げの好機なのか

あなたが進化のスピードに取り残されたくないと思う新しいもの、つまりロボット工学やプレシジョン・メディシン(精密医療)、AI、統計学や数学は、何であれ常に研究に値する。だがカギとなるのは「学び方を学ぶ」ことだと私は思っている。なぜなら不変なのは「物事は変わる」ということだけだからだ。

パンデミック以前には、在宅勤務などわれわれの頭の片隅にもなかったし、「(テレビ会議アプリ)ズーム(Zoom)の音量を上げるにはどうしたらいいんだろう」などと考えたこともなかったはずだ。つまり、チャンスにつながる変化は常にある。そしてたぶん、今ほどビジネスを始める好機はないだろう。あらゆる物事がリセットされているからだ。

学び続けることの大切さ

社会に大きな影響を与えそうな新技術が出てくるたび、私はそれを学びたくなる。AIはすごいことになると思ったから、機械学習に関する個別授業を受けている。YouTubeでニューラルネットワークの入門講座も見ているし、強化学習に関する論文も読んでいる。おかげで(AI関連の)企業投資を始められたし、本物とがらくたを見分けられるようになった。

ロボット工学についても掘り下げた勉強を始めたところだ。ソフトウエアの観点からはきちんと理解できているのだが、ハードウエアの側面はそうでもないからだ。

メイド・イン・USA

製造業を海外から国内に回帰させる唯一の方法は、(途上国の)安価な労働コストや環境保護に対する無関心に打ち勝つことだ。それもロボット工学を用いてやらなければならないだろう。ただし混乱は避けられない。従来型の製造業の一部はたぶん、退場させられることになる。どんなタイプの雇用を創出できるか、それをどのように広げていけるかについて理解できれば、全体として多くの雇用を創出できるはずだ。

だがトランプ政権の方法論を採用し、1985年頃のアメリカの製造業を現代に再現し、国民を守るために関税を引き上げたりすれば、アメリカは火だるまになる。中国やドイツ、ロシア、日本などの国々がロボット工学でどんどん前進しているという観点が抜け落ちているからだ。それに中国は「どうやったらこのビジネスでアメリカをたたきのめせるか」を日々、考えている。それを理解し、投資し、主権国家として前進しなければ火だるまになる。

【関連記事】日本人には分からない人種差別問題のマグニチュード
【関連記事】ユヴァル・ノア・ハラリ×オードリー・タン対談(1/3)──「ピンクのマスクはカッコいい」、誰もがルールづくりに参画できる社会の到来

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国、企業に緊急支援措置へ 米関税受け大統領代行が

ワールド

日本の働き掛け奏功せず、米が相互関税24% 安倍元

ワールド

ロシアが企業ビル爆撃、4人死亡 ゼレンスキー氏出身

ビジネス

米関税24%の衝撃、日本株一時1600円超安 市場
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中