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新型コロナが問うオフィスの存在意義 NYの象徴エンパイアステートビルにも変化の波

2020年7月6日(月)12時54分

「以前と同じやり方に戻る」と楽観視

エンパイアステートビルを所有・管理するエンパイアステート・リアルティ・トラストを始め、商業不動産業者にとって、こうした企業姿勢の変化は頭痛の種になりかねない。

不動産調査会社グリーン・ストリート・アドバイザーズの首席アナリスト、ダニエル・イズマイル氏によれば、パンデミックの期間中、ニューヨーク市の商業不動産の価値は10%下落した可能性があるという。

エンパイアステート・リアルティの株価は、2019年末から53%近く下がった。一方、オフィス物件を対象としたREIT(不動産投資トラスト)市場の動向を示すFTSEナリート・エクイティ・オフィス指数は、今年に入って25%の下落に留まっている。

イズマイル氏は、エンパイアステート・リアルティが厳しい状況にある要因について、昨年のグループ売上高の5分の1以上を生み出した展望室が、新型コロナで閉鎖されたことなどを指摘する。

それでも、他にも市内で不動産を展開するエンパイアステート・リアルティのアンソニー・モルキンCEOは、依然として楽観的だ。モルキン家は1960年代以来、エンパイアステートビルに関わってきた。モルキンCEOは、新型コロナによる影響は厳しいものの一時的であり、ニューヨークのスカイラインの一角を占める名所としての地位を揺るがすものではない、と確信している。

モルキン氏はあるインタビューで「新型コロナの流行以来、賃貸契約を結ぶ企業はあっても、退去した企業はない」と述べ、3月15日にコーヒーチェーンのスターバックスと3階建ての物件の賃貸契約を結んだことに触れた。「新型コロナの治療薬やワクチンが開発され、集団免疫を獲得した世界では、何もかもが以前と同じ姿に戻るだろう」

エンパイアステート・リアルティでは、テナントからの賃料支払いが滞った場合でも現金資金を確保できるよう、第1・四半期に5億5000万ドル(約600億円)を調達した。これまでのところ、大部分の賃料は回収できている。

4月は賃料収納率が73%まで下がったが、6月1日までに83%まで回復したという。ごく一部のテナントには賃料の延納を認めており、全体の稼働率は96%前後で安定している。

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